近衛騎士団 一番隊〜三番隊隊長の方々とか。

 一番隊 隊長 “イフリート・ザ・ダークナイト”ミレイ・クロセッカ

 全員が黒い魔道強化鎧を着用し、機動鎧や戦闘艦、移動島などを保有。拠点制圧、対象殲滅などの直接戦闘に特化した隊。

 秩序だった行動を好む隊長に指揮された隊だけあって、作戦行動中の統率や行動の迅速さでは、団長も全幅の信頼を寄せている。その為か、敵対対象が小国である場合、この隊だけに出動命令が下る事もある。

 小細工も、戦術も、戦略も、作戦も無く。ただただ力を持って真正面から殴りつけ、全てを粉砕し踏みつけて直進する。レニス王国近衛騎士団を代表するような隊である。

 隊長であるミレイ・クロセッカは武門の名家、クロセッカ家の出であるためか、やたらと“騎士道”にうるさい。 ハウザーやレニス王など、基本的に常識とかどうでも良くなっちゃってる連中にとうとうと説教を垂れたり、アルベルトやマービットの悪巧みに真っ先に巻き込まれたりするのが趣味(嘘)。

 真面目真面目の真面目一辺倒なその性格ゆえか、他の隊長連中にからかわれる事もしばしば。もっとも、本人はからかわれているとも思っていないようだが。

 

 二番隊 隊長 神津 雅平

 複数の移動島や戦闘艦を保有する、艦艇戦のスペシャリスト集団。

 レニス王国が誇る魔道技術の粋を集めた圧倒的火力と、保有する人工衛星を介した移動召喚陣を使用した機動力を使っての、他隊の移送や大型戦闘を得意としている。

 旧大戦中、たった一隻の戦闘駆逐艦で、敵国の戦艦20隻を撃墜した名将、神津が指揮するこの隊は、個々の戦闘力こそ低いものの、情報戦、整備、観戦操舵などを特使とするモノが多い。ナカにはたった一人で移動島を操る猛者まで居る。

 最高の戦力を、最高の人員で運用する。人員数こそ少ないものの、この隊の戦力は小国のそれに匹敵する。この二番隊と一番隊が合同で作戦を行う事は殆ど無く、あるとすれば、それは敵対国完全鎮圧する事が目的といったような、国家間戦争に限られることだろう。

 隊長である神津は、元々は一歩兵であったが、戦場での功績により出世。当人は戦場を駆け回る歩兵に戻りたいと思ってはいるものの、如何せんその才能が邪魔をして艦隊指揮などの役回りを押し付けられる事となった。

 お堅い喋り方にきちんとした立ち居振る舞いから、とっつきにくそうに見えるが、元々は名も無き一兵卒。部下たちの受けもよく、細かな所に気を使う性格であるためか、隊員達からは“親方様”と呼ばれ親しまれている。

 兎人である神津だが、何故か女性隊員から“シブカワイイ”と大人気。時々ニンジンをプレゼントされるのだが、嫌な顔ひとつせず受け取ったりする好人物である。

 

 三番隊 隊長 “黒竜”ドレイコ・スカルホッパー

 隊員全員が機動鎧乗りであり、単独での諜報、強襲、他の隊への協力などを担当する、いわば傭兵部隊。

 隊員の殆どが元冒険者や元傭兵であり、その実力を買われてドレイコに引き抜かれたモノが殆ど。その為か統率、軍規、服務規定などと言った言葉とは全く無縁な集団である。

 かと言って、集団として機能していないかと言えば、話は別である。彼等はまるで隊がひとつの“ギルド”であるとでも言うように行動し、事が起こればまるで傭兵のように淡々と任務をこなすのだ。

 個々の能力は群を抜くモノの、規律だった騎士である事を嫌う。そんな連中に、隊長であるドレイコが上手く仕事を分配していく。 実力がモノを言う。そんなスタンスである近衛騎士団の、代表例とも言うべき隊である。

 隊長であるドレイコは、騎士団の隊長とは思えぬほど軽く、のらりくらりとした男である。 始末書、報告書などの書類仕事を嫌い、隊長の執務室に居る事を嫌い、形式ばった挨拶を嫌い、酒とタバコ好む。 ぱっと見、ただの不良中年にしか見えないが、元は他国の将軍であり、その実力は疑うべくも無い。

 とは言うものの、三番隊の詰め所をバーに改造して、部下の一人に運営を任せている当たり、ただの道楽男と言われても、仕方が無いのかもしれない。

博士の風変わりな研究と飯のタネ(35)

「気合い気合い気合い気合い気合い気合いぃぃぃ!!!」

 まるで癇癪を起こしたかのように叫びながら、英児は剣を振るっていた。 剣による直接攻撃ではなく“剣風”で戦うという英児のスタイルは、一見デタラメでは有るもののリーチと破壊力と言う二つの観点からだけ見れば、実に有効なモノであった。

 なにせ、時速60キロの車に引かれてもびくともしないと言う防護スーツを纏った人形を、十数メートル吹き飛ばした挙句、いとも容易く両断、爆砕させているのだから。

「あぁぁ!! チクショウがぁ! なんなんだこの数は!! さっきより増えてやがるぞオイ!!」

 英児は苛立たしそうに舌打ちすると、剣を肩に担ぎ、とんとんと叩いた。実際肩に刺激が伝わる事は無いのだが、気分の問題である。

「増えてもらわなくちゃ困るのよ。“鼠”って言うくらいなんですからね!」

 突然背後から聞えて来た声に、咄嗟に振り向こうとする英児。しかし、振り向こうとするその動作に入る前に、突然視界が真横にスライドした。地面に突っ込むように前転し、急ブレーキをかける様に両手両足で地面を削り止った時には、先ほど待て自分が居た位置には、無数の炎で出来た数メートルはあろうかと言う杭が打ち込まれている。自分でも無意識の、脊髄反射的な野生の感だ。

「は! 人形に隠れてビビッテたんじゃねーのか?!」

 相手も確認せずにそう言いながら、英児は立ち上がると振り向きざま剣を振りぬいた。背中で感じた相手の位置は違わず、放った剣風はまるで実物の鉄槐でも有るかのような破壊力と轟音を響かせ着弾した。

「そうも行かないのよ! 私達だって賞金首、追ってるんですからね!」

 英児の剣風を受けながら、相手。シュナは、平然と立っていた。着弾の寸前、自らと剣風の間で爆炎を作り出し、リフレクトアーマーを使ったかのように破壊力を相殺したのだ。

「おお! あぶねぇそうだった! 賞金首だ!! テメーと遊んでる場合じゃねーんだよ!賞金首とらにゃ飯がくえねぇーんだゴラ!!」

 言いながら、英児は剣を地面と平行に構え、全身のバネを使って突き出した。言わずもなが、これからも放たれた剣風は、圧縮空気砲のように一点に集中した破壊力を持ってシュナに襲い掛かる。

「アンタ今忘れてたでしょ?! 賞金首追ってること! 忘れるくらいなら諦めて引っ込んでなさいよ!!」

 英児の剣風を横方向へのダッシュでかわし、シュナは手の持った巨大な杖に魔力と呪文を込め始めた。 この杖は、いわば出力機であった。シュナ自身の魔力を“エネルギー”にして、“呪文”と言うプログラム通りの現象を起こすのだ。 シュナの杖には、あらかじめ実戦向けの呪文がいくつか仕込まれている。故に、実際に口にする呪文は用意してある数種類の呪文の起動と、追加の命令式だけなのだった。 軍事用に使われる杖にもこのような形式のものは幾つもあるのだったが、シュナの使う杖は、その数倍も大きく、その大きさに比例して用意してる呪文の数も多い。コレだけのものを使いこなすには、相当の訓練とセンスを要求される。

 走りながら呪文を組み上げ、呪文を放つシュナ。 繰り出したのは、直径10cm弱の、数十にも及ぶ追跡火球。

「今思い出したから良いんだよ!!」

 言いながら、千度をに迫る火球の群れに一直線に飛び込む英児。 普通ならば接触した瞬間水蒸気爆発を起こしそうな高温の火球が、英児に向かって殺到する。 全身が炎に飲まれ、燃え尽きたようにも見えた瞬間。

「気合い!!!」

 言葉通り。英児は全身から物理現象にまで昇華した気合いを放ち、一瞬で炎を吹き飛ばしてしまった。

 英児の常識を無視した“感情”、“気合い”をエネルギーとする“アーマー・オブ・ディープレッド”の装甲は、その根源ともなるエネルギー量の絶大さを下地にして、並や普通の“重装甲型機動鎧”以上の対魔法力を誇っている。その鉄壁とも呼べる鎧の前には、一個人が咄嗟に放つ魔法など、そよ風のようなものなのだ。

「んなっ・・・! んつう装甲してんのよアンタ! そんなテレビの子供向け番組みたいなカッコしてる癖に!!」

「はっ! 羨ましいかゴラ!」

「そんな訳無いでしょ、バーカ!!」

 低レベルな口喧嘩をしながらも、シュナは既に次の呪文を構築し始めていた。 どんな壁も、絶対ではない。“アーマー・オブ・ディープレッド”の防御力の要は、英児の感情である。“アーマー・オブ・ディープレッド”の対魔道装甲は、機動鎧などと同じく、感情の高ぶりを喰らい魔力に変える人工精霊を宿す事で成形されていた。故に、魔力を浪費させ、感情を喰らい尽くさせれば、ほころびが出るのだ。 つまり、さっきのように魔法を連発し続けていれば、装甲は何れ用を成さなくなるというわけだ。 感情を喰わせ魔力を発生させる技術で作られた魔力は、実に濃厚で力強い。反面、“感情を喰わせる”と言うその性格上、“感情が枯渇”して魔力を製造出来なくなるのも早い。故に、シュナレベルの使い手で有れば、多少時間さえ掛けてしまえば、感情が枯渇するほど魔力を使わせてしまうことも可能なのだ。

 しかし。自分の装甲と同じタイプのものに対する適切な対応を見せるシュナに対し、英児は余裕の笑みを浮かべていた。

「おいおいおいおい。 “アーマー・オブ・ディープレッド”をただの戦闘服だと思うなよ?」

 意味ありげに言うと、英児は腕に付けられたパーツを口元に引き寄せ、大きく息を吸った。

「来い!! 大地の咆哮!! ヒートレッド!!!」

 言うや否や、英児の真後ろの空間に、半径2mはあろうかと言う光の魔法陣が現れた。見るモノが見ればすぐにそれとわかる、召喚魔法陣だ。 平面であるその魔法陣の中央から、火花を散らして現れたのは、二mはあろうかと言う、巨大な鋼鉄の獅子だった。 赤と黄金のメタルカラーを施されたそれは、英児の“アーマー・オブ・ディープレッド”と同系列のデザインであった。

 鋼鉄の獅子“ヒートレッド”は、英児の隣に降り立つと、まるで生あるモノのように身震いをし、空に向かって大きく一声鳴いた。機械的な外見に似合わぬ雄雄しいその咆哮は、近くの建物のガラス窓を振るわせるほどだ。

「それがなんだって言うのよ! 今更ゴーレムの一体や二体!!」

 呆れ半分怒り半分で叫ぶシュナだったが、言葉を向けられた当の英児は以前余裕の口ぶりだった。

「ヒートレッドがただの戦闘用ゴーレムだと思うなよ? これからたっぷりコイツの恐ろしさ、味合わせてやるぜぇ!!」

 英児は見得を切る用に大仰な仕草で剣を構えると、無駄に大きいその声を響かせた。

 因みにこのとき、すでに英児の頭からは賞金首の事は綺麗さっぱり忘れ去られていた。戦闘になると、目的も空腹も全て忘れて感情を高ぶらせられる。 それが、英児の傭兵としての強さの源であり・・・弱点でもあった。 この数分後。英児はこの忘却性を激しく公開する事に成るのだった。

博士の風変わりな研究と飯のタネ(34)

「きりが無いって言うか面倒臭いって言うか・・・。どうしろって言うのよこれ。」

 わらわらと蟻の様に群ってくる人形を破壊しながら、ジェーンは誰に言うでもなく毒付いた。

 英児との賞金首をめぐる戦闘の最中、“二十日鼠”が横槍を入れてきて、もう数分が経とうとしている。 その間に、数十隊の人形を破壊しているが、一向に人形の数が減っているようには見えなかった。 “人形”を操る。と言うのは、簡単な事ではない。簡単に言ってしまえば、自分の身体とは別に、もう一つ“体”を操らなくてはなら無いからだ。 故に、普通の術者が通常操れるのは、多くて二体から三体。この人形を全て操っている“パペッター”は、異常と言えるだろう。

「“パペッター”を直接狙えれば一番楽・・・って、言ってもしょうがないわね。」

 人形を潰すには使い手を潰せば良い。 人形遣いと戦うときの基本だ。実際、“パペッター”は姿を隠すでもなく、大量の人形をはさんで此方をじっと見ている。だが、だからこそ面倒臭くもあった。 姿を晒していると言っても、間には無数の人形がある。狙いに行った所で、すぐに人形に囲まれる。だからと言って、すぐそこに居る術者を無視する事も出来ない。

「全く・・・。」

 ジェーンは一度大きく溜息を付くと、愛器“オルトロス”で帽子の唾を押し上げた。

「もうどうなっても知らないわよ・・・。」

 ポツリと一言、呟く。 すると。ジェーンの衣服の表面に、まるでネオンサインのような幾何学模様が青白く浮かび上がってきた。そして、なにかの法則があるかのようにその模様が服の上を這うように動き始めた。

 無造作に銃を持ち上げると、一番近くの人形一体に向かって引き金を引く。弾丸は的確に人形の胸部に着弾すると、人形の身体を粉砕。一瞬にして腹と胸を消し飛ばすと、そのまま直進。後方に有った人形の左肩を首ごと消し飛ばし、その後方に有った人形の上半身を諸とも吹き飛ばし、さらにその後方に有った人形の左腕と頭だけを残し、残る上半身を諸とも消し飛ばした。そのようにして、最終的にはたった一発の弾丸で、十数体の人形を完全破壊してしまった。

 あまりにあっけなく人形が破壊された事に反応してか、“パペッター”の体が僅かにぶれる。

「“魔弾”て言うからには、ただの鉛弾撃ってる訳にも行かないでしょう?」

 ニヤリと軽薄な笑いを顔に貼り付けると、ジェーンは二兆一対の拳銃“オルトロス”を構えた。銃を寝かせ、掌を地面と水平にするように持ち、腕をクロスさせる。

「さーてと・・・。ショーターイム。ってか?」

博士の風変わりな研究と飯のタネ 番外編 ちょっと前のジェーン少女とDr

じゅーすとこーひー

 

 

「ん。」

「ふむ。ポンジュースは気に入ったかね?」

「ん。おいしい。」

「それは良かったと思うのだがね。 わざわざミカンを買って来て絞り上げた会が有ると言うものだと思うのだがね。」

「しぼりあげた。」

「うむ。絞り上げたね。それはもう日本てぬぐいに包んで此れでもかと言うほど。はっはっはっは!」

「どくたーはなにをのんでるんだ?」

「私はコーヒーだね。やはり徹夜の友と言えば、コーヒーだと思うのだがね。これから仕事を片付けなくては成らないからね。目覚ましだね。」

「それ。 おいしいのか?」

「うーむ。難しい質問だね。人それぞれ好みがあるから一概にはいえないと思うのだがね。まあ、私にとって見れば、美味しいと思うのだがね?」

「ん。」

「ほう。飲んでみるのかね? まぁ、ぬるいから大丈夫だとは思うのだがね。火傷には気を付けると良いと思うのだがね。」

「ん。 ・・・・・・。」

「味はどうだね?」

「・・・・・・・・・あ”ぁぁぁ〜〜。」

「おお。御気に召さなかったようだね。苦かったかね?」

「ん。 ・・・・・・。」

「む? また飲むのかね?」

「・・・・・・・・・あ”ぁぁぁ〜〜。」

「・・・ふっ! はっはっはっはっはっは! 怖いもの見たさとかそう言う類の感情なのかも知れんと思うのだがね・・・!」

「にがい。」

リンク品

 アンブレラがデンを連れて来たのは、海岸沿いの打ち捨てられた倉庫街だった。 美しく、清潔に作られたアクア・ルートにあって、その一角だけがまるで別世界のように見えた。アルコールや、得体の知れない薬品のにおいが立ち込め、舗装された道路は所々ひび割れ、破壊されている。 立ち並ぶ倉庫や建物は、どれも崩れかけているように見えた。

 てこてこと歩くアンブレラの後にくっ付いて歩きながら、キョロキョロとあたりを見回すデン。 周りの建物から立ち上る、尋常でない気配に警戒しているのだ。

「別にそんなにびびら無くても平気だにゃ。連中、コレでもくつろいでるだけだからにゃ。それより、ついたにゃ。」

 大型の倉庫の前で立ち止まり、アンブレラはくるりとデンのほうに向き直った。

 アンブレラが地面を傘で二度叩くと、重苦しい音を立てながら倉庫のシャッターが開いていった。 壁の四分の一ほどのそれが上がりきった時、中に見えたのは、一体の機動鎧だった。

「き、き、機動鎧?! それも、獣型か!」

 緊張していたデンノスケの顔が、一気に明るくなった。

「機動鎧の中でも、“ゴーレム”タイプと呼ばれる類の機体にゃ。 乗り手の感情を喰らい魔力に変え、機体を制御し、自立稼動も可能にする人工精霊を植えつけてあるのにゃ。大気中の魔力を吸収する従来の機動鎧の能力とは別に、外部からの魔力を完全に遮断する事で、魔道機器へのハッキングや、魔力攻撃を完全にシャットアウトする機能も備え付けてあるにゃ。」

 言いながら、アンブレラは機体の近くにとことこと歩み寄っていく。 狼を鋼鉄にしたような外見の機体は、全面を黒に統一されており、アクセントで引かれる血の様に鮮やかな赤が、浮かび上がるように冴えている。

「この機体の装甲には、飛行用の術式が組み込まれた無いにゃ。全て、軽量化と対魔道、対物防御に回して有るのにゃ。だから飛行はできないんにゃけれど、並のブレードやランサー、マジックなら蚊が止まったほどにも感じないほどにゃ。 そして、この武装にゃ。」

 今度は機体の横に周り、背から脇にかけての出っ張ったパーツに取り付けられたガトリング砲を叩いた。

「大仰に見えるかもしれにゃいけど、こいつは30mm対機動鎧ガトリング砲にゃ。大抵はこいつで潰せるンにゃけど、こいつが効く様な鎧は二流三流にゃ。本命、本当の武装は、この爪。高周波振動クローにゃ。こいつの表面にはアンチ・マジック・シールドって呼ばれる類の、シールド無効化魔術式が書き込んであるにゃ。勿論、牙にもかいてあるんにゃけどにゃ。 ガトリング砲で牽制しつつ、クローとファングで止めを刺す。コレが基本戦術になるかにゃー。」

「お、おお・・・!」

 嬉しいのか悲しいのか。イマイチ汲み取れない表情で震えているデンのほうに身体をむけ、アンブレラはニヤリと口の端を持ち上げた。

「勿論、コレは君の機体だからにゃ。 他にも欲しい機能があれば、可能な限り追加するのにゃ。 では、質問はあるかにゃ?」

博士の風変わりな研究と飯のタネ(33)

 観光都市としての側面も持つアクア・ルートには、昼の早い時間でも開いているバーなどが多数点在していた。 その中の一つに、数名の賞金稼ぎがたむろしていた。

「冗談じゃねーぞまったく・・・。なんだって“魔弾”に“二十日鼠”なんてビッグネームがそろってんだよ・・・。」

「それだけじゃなかったぞー。“城落し”に“白炎狼”も居たー。」

「マッジかよっ! 激最悪じゃん本気マジでっ!」

「だからこの街やなんだよ・・・冒険者やら賞金稼ぎなら武器持ち込み自由な変わりに、転がってる仕事がでか過ぎて洒落にならんのばっかり集まるんだ・・・。」

 それぞれ思い思いに愚痴りながら、酒を煽る賞金稼ぎたち。

 彼等の一人が言ったように、この“アクア・ルート”と言う街は、冒険者や賞金稼ぎ、傭兵であれば、どんな武器の携帯も許可されている街であった。 使用についても、一般市民に被害を及ぼさない範疇での使用なら許可されており、冒険者同士の喧嘩や賞金首狩りなどは、基本的には見て見ぬ振りをされていた。

 ならば、有象無象、実力があるモノも無いモノも。山のように集まりそうなものだが・・・実際は違った。 世界でも有数の都市であり、交通の要であり、経済、物流の拠点であるこの街には、“ずば抜けた凄腕”も集まってくる。そう言った連中を目当てにした、無茶苦茶で不可能にも思えるものの、依頼料が目が飛び出るほどの額に成る依頼も集まってくるのである。 自然、そんな依頼を受け、達成できる人間以外は、他のクイブチを求め他の街に流れていく。 うっかり自分より実力のある相手に喧嘩を吹っかけ、ボコボコにされて海に放り出されるというケースもあるが。

 兎も角。大都市で有ればあるほど、“荒事”を生業にするものにとっては、ハイリスクハイリターンな仕事が集まり易い。 故に、そんな場所をねぐらに出来る冒険者や傭兵、賞金稼ぎと言うのは、“ずば抜けが凄腕”。と、言う事に成っていく訳である。

「お前どうするよーこれから。あの額のために死にたくねーよ俺。」

「だーいじょぶだって。骨なら拾ってやるから、行って来い。」

「テメー人事だと思って適当な事ふいてんじゃねーぞ! 実際近衛騎士団とか出張ってんだから洒落になんねーよ! 生身で火葬とかされるぞ!」

「俺は“マーズ”にでも行ってみるつもりだけど。あそこ、こないだどっかとどっかの同盟崩れて、イザコザ多いらしいから。 多分、首逃げ込んでると思うんだよね〜。」

 “マーズ”とは。アクア・ルートと、レニス王国の首都があるこの星、“テラ”の隣に位置する星である。早くからテラフォーミングは施され、今では“第二のテラ”と呼ばれる水、大地、緑、空気豊かな星になっていた。

「ああ。治安悪化すると、警備甘くなるからなぁ。首逃げ込むんだよねー。良く・・・。俺も行ってみるか。」

「俺もそうしよー。」

「お。居た居た。 いやぁ〜よかった。探しちゃったよ〜。」

 唐突に。ボチボチと今後の方向性を決めていた賞金稼ぎたちに、男が話しかけてきた。 天然パーマっぽい青髪に、とろんとしたタレ目。派手な赤いアロハシャツに、ジーンズ地のハーフパンツにスリッパと言う、なんとも浮かれた格好をした男だった。種族が人間ならば、二十代終わりか三十代頭の、若く見えるタイプ。と言った年恰好である。

「ああ? なによオッサン。なんかよう?」

「おいおい。オッサンはないだろうー。俺まだそんな歳喰って見えないだろぉ? 34よ俺〜。」

「そんなことどうでも良いんだよ! 要件言え、要件!」

「ああー、そうそう! 危ない危ない忘れる所だった。 君等、ココに来る時うっかり建物引っ掛けただろ? 器物破損だよ。ちっと事情聴取だけするから、一緒に来てくれない?」

 男の言葉に、賞金稼ぎたちの表情がキョトンとしたものに成る。

「なに。おっさん。軍警? 軍警察?」

「ま、そんなとこ。 お役人さんだぁ〜ね。」

「おいおいおい。勘弁してよマジで。壊したっつっても流れ弾避けるためにでしょー。大目に見てよ〜。」

「分かってるってー。だから逮捕とかしないからさ〜。事情聴取で帰して上げるからさ〜。ね? ちょっとだけっ!」

「なんだよその人差し指と中指で作った隙間覗き込むフッルイ“ちょっとだけっ”のジェスチャー! つかマジでヤダっての! 下手したら罰金とかじゃんか!」

「ないない! ホント事情聴取するだけだって! 抵抗とかしなきゃ、御互いハッピーに仕事終るからさ! ね?!」

「そう言って免許とか剥奪された奴知ってるもんよー!」

「そんなえげつない事しないってば! 書類作るのメンドクサイだよ?! そう言うの!」

「書類作るのめんどくさがるような奴の言う事信用できるかー!」

「大丈夫だって〜。どうせ現場俺しか見てないからさ〜。幾らでも事小さく出来るし! つっても、俺もなんかやってた事にしないとアレでしょ?! この騒ぎで仕事してなかったのばれたらやばい訳よ! 人助けだと思ってさ、サクっと連行されてよ!ね!」

「しつこいなアンタも!! って・・・現場見たのあんただけなの?」

「そうだよ。」

「証拠写真とか、映像とかは?」

「ナイナイ。」

 男の言葉に、賞金稼ぎの一人がニヤリと笑った。

「じゃあ、アンタに寝ててもらってその間に国外に出ちまえばOKって訳だ?」

「まぁ、そうだけど。現行犯じゃなきゃこう言うの意味ない訳だし。」

「そりゃいいや。じゃあ、寝ててくれやおっさん。」

 言うが早いか。賞金稼ぎは戦闘用義手、拳部分を超振動させ、対象物に大ダメージを与えると言う凶器を起動させ、男に向かって振りぬいた。 予備動作の全く無い、唐突に腕が別の生き物のように動き相手に襲い掛かるこの手の技は、プロの暗殺者も用いる高等技術の一つである。

 が。 吹き飛んだのは賞金稼ぎのほうだった。

 腕が動き、男の身体に触れようとしたまさにその時だった。 男の右手が掻き消え、次の瞬間、まるでコマ落しの様に賞金稼ぎが天上に頭から激突。 木製だった天上に頭を突っ込んだまま、プラーン、と、首吊り状態で垂れ下がる事に成ったのである。

「う、うは・・・。ギャグ漫画とかでこう言うの見たこと有るよ俺・・・。」

「嘘だろおい・・・。アイツ義肢の入れすぎで体重400キロオーバーなんだぞ・・・。」

 若干引き気味ながら、叫んだりしないで冷静に成っているあたり、流石は賞金稼ぎと言った所か。

「おじ・・・いやいや。 おにいさん、なにもの?」

「ん? 俺? ああ、いてなかったっけ? レニス王国近衛騎士団、三番隊隊長。“ドレイコ・スカルホッパー”。」

 男の名前を聞いた瞬間、賞金稼ぎたちの顔色が一瞬にしてヤバイ青に変わった。

「スカルホッパーって・・・前の大戦中に、“黒龍”スカルホッパー?!」

「懐かしい呼び名知ってるなぁ〜。 って、そんなことどうでも良いんだって。このぶら下がってる奴のお陰で始末書書かなくっちゃならなくなったよまったく。 ねぇ。ホント頼むからさぁ。君等は大人しく付いてきてくれない? 絶対悪い様にはしないから!ねっ!」

 苦笑いしながら両手を合わせるスカルホッパーに、賞金首たちは顔を見合わせ、答えた。

『大人しく付いていくから、ぶたないでくださーい。』

博士の風変わりな研究と飯のタネ(32)

 世界有数の交易都市であり、観光都市であり、富と名声が集中し、人と金とが交錯するこの街。アクアルートは今。大変な混乱状態にあった。

 なぜか巨額の賞金が掛けられたたった一人の悪魔族の少年をめぐり、多数の賞金稼ぎが激突。あまつさえ、海賊やら軍警察まで動き出し、にっちもさっちも立ち行かない、まさにカオスな状態に陥っていたりする訳である。

 そんな最中、嬉々として治安活動にせいを出す集団が居た。非番、もしくは休暇中であるにも拘らず、レニス王国国有装備であるはずの重火器、機動鎧、大型魔法陣まで引っ張り出し暴れまわるその様は、後に“大乱闘! 近衛騎士団” と言う謎のフリーゲームまで製作される事になるほどであった。

「くっそ・・・! なんなんだよこいつ等!!」

「無駄口叩くなら撃ってくれるとマジ助かるんですけどー!!」

 大声を張り上げながら、二人組みの冒険者が細い路地を走り抜けていく。態々大きな声を出しているのは、そうしないと相手に聞えないからだ。 なにせ、走りながら大火力の魔法を連発しているのだから。

 腕に、魔力を込めるだけで指定の魔法を発動してくれると言う便利アイテムを装着したこの二人組みは、今必死になって逃げ回っている最中なのだ。

「なんなんだよ!!」

 後手に、“レイ”と呼ばれる収束エネルギー砲を連発していた一人が、チラリと後ろを振り返った。そこにいたのは、真っ黒な重鎧に、これまた真っ黒なマントを羽織った集団だった。恐らく鎧は強化服なのだろう。信じられないような軽やかさで迫ってくるその集団は、マシンガンのように連発しているレイを真正面から受けつつも、全く動じる様子もダメージを受けている様子も無く追いすがってきていた。 厚さ三センチの鉄板も貫くレイを受け微動だにし無いとなると、コレはもう逃げるしかないわけである。

「撃っても撃っても当たらないからこんな路地に来たってーのによぉ! これじゃぁ追い込まれてるだけじゃん!! なんなんだよマジあいつ等!」

「レニス王国の近衛騎士団の一番隊だよ! あいつ等たち悪いらしいからな!!捕まったら、っつか、追いつかれたら殺されるかも知れんぞ!!」

「冗談じゃねーぞマジでー! 死にタクねーっつのー!!」

 半べそで泣き叫びながら、二人組みの片方が高速で指先を空中に躍らせながら、シュー、と言う低い音を口から発し始めた。 指先が描き出すのは、通常の二次元魔方陣、縦横に、奥行きと言う第三要素を加えた“三次元魔方陣”と呼ばれるもの。低い音は、数千文字から連なる呪文を圧縮して発音する“圧縮呪文”であった。どちらも並の術者なら、相当の集中と時間を要する芸当である。とても二つを同時に、しかも走りながら製作するなど出来ないだろう。このことから、この二人の力量が窺えた。

「おいおいおい! そんなもんどうするんだよ!」

「捕まるよかまし! 吹っ飛べ近衛騎士団!!」

 ドリフトのように靴底を地面で削りながら振り返ると、躊躇なく魔法を放った。 術式の名は“対機動鎧貫通レイ”複雑な過程を経て放たれる、大抵の防御魔法を無効化する、大口径のレイである。因みに彼が放ったこのレイの太さは、半径一メートルは優に越えていた。

 細い路地が一杯になるほどの極太のレイが、黒い鎧を来た近衛騎士達を直撃した。元々破壊力を有した光である。発射口が敵に向かった瞬間に打ち出せれば、避けられる道理などないのだ。

 突然の高熱により膨張した空気が、爆風となって路地を突き抜けた。閉鎖空間で爆風が吹いたのだから、銃の砲身の中にあるようなものである。二人組みの冒険者は元々そのつもりだったたのか、発射と同時にバリアーを発動させ、全くの無傷でその場にうずくまっていた。

「必中ー!!」

「コレは効いたでしょうがよー!」

 爆風が収まったのを確認し、バリアーを解いてガッツポーズを取る二人組み。だが、爆風で舞い上がったちりが晴れるうち、その表情が見る見る青くなっていった。

 そこには、一番見たくない光景があったのだ。

 先頭に立つ一人の騎士が手にひらを此方に向け、悠然とマントをたなびかせている姿と・・・その背後に並ぶ、2丁の大型自動拳銃を構えた騎士の姿。

「冗だ」

 んにしても笑えネェー・・・。 そう続けようとしたが、不可能だった。 騎士達が構えた銃が一斉に火を噴き、弾丸が冒険者の身体に容赦なく叩き込まれる。

「いっぎゃー!! いってー!!」

「イタイイタイイタイイタイ!!」

 のた打ち回る冒険者二人組み。しかし、一向に身体に穴が開く様子は無かった。それもそのはず。騎士達が撃っているのは、弾丸は弾丸でも、非致死性のゴム弾なのだ。とは言っても、大口径のゴム弾である。直撃すれば相撲取りも三十センチは動く威力がある。

「打ち方やめ。」

 一番先頭に居た騎士が片手を挙げ、銃撃を終らせる。 足早に転がっている二人組みに近づいていくと、越から引き抜いた日本の大型ナイフを逆手に持ち、それぞれの顔の横に付きたてた。

「ひ、ひぃぃぃぃ!!」

「まったまったまった! もう抵抗しないからマジで!!」

 ビビって命乞いを始める二人を一瞥すると、騎士は兜に手を添えた。 ロックが外れる音と、シュー・・・、と言う空気が漏れ出す音と共に、兜が外された。中から現れたのは、腰に届きそうなほどの赤髪をポニーテールに束ねた、女性の顔だった。

 年のころは二十代半ばだろうか。意志の強そうな目に、一文字に結ばれた唇。まるで絹のように白い肌は、その髪の色と相まって、実に栄えていた。 彼女の名は、“ミレイ・クロセッカ”。レニス王国近衛騎士団 一番隊隊長であり、“イフリート・ザ・ダークナイト”と呼ばれる女傑である。

「街の中での兵器の携帯は、冒険者である君たちには許可されている。しかし、その運用となれば話は別だ。しばらく牢屋ででも頭を冷やすのだな。」

 冷たく言い放たれたその言葉に、転がっていた二人組み冒険者はしばしぽかーんとすると、顔を見合わせ頷きあった。

「おねーさん、お茶しない?」

「俺等面白いよー?」

博士の風変わりな研究と飯のタネ 番外編 ちょっと前のジェーン少女とDr

ジェーン(幼体) / 体長・約100cm 特徴・腰辺りまで届く髪に、やたら鋭い目。眉は常にV字に近い角度で、眉間に皺が寄っている。 備考・二丁拳銃と蹴り、ガン・カタを使う。訳も無く、主な攻撃方法は“かみつく”。 好物は“食物”。見境は無い。人だろうが動物だろうが“かみつく”で捕食しようとする。

 

Dr・フェネクス(完全体) / 体長・約180cm 特徴・白衣。ベリーショートの銀髪。紫の瞳。妙齢の美青年然とした風貌とその微笑は、天使を思わせるとか無いとか。 備考・行動は基本的に現代と変わらない分、違和感ダウン変態度アップ。なんでジェーンを拾ったのかは今のところ不明。ただ、気まぐれに見えて目的以外のことには関心を持たないこのボンクラの行動だけに、意味有りげ。

リンク品

「にゃ、にゃんてことだにゃー・・・まさかコイツとコンにゃ所であおうとは・・・!」

 硝煙と血。あと、なんか近くにあった全壊した自販機から漂うトロピカルな香りに包まれながら。アンブレラ・レインブーツは、己が強敵と認めるものと対峙していた。

 いつも常に余裕の有る、不敵な表情を崩さない彼だったが、今は眉間に皺が寄り、額からは汗が噴出していた。

「お前と最後に会ったのは・・・ちょうどこんな天気のいい日だったにゃー・・・。暖かく気持ちのいい昼下がり・・・傍らにはお気に入りのミルク・・・まさに最高だったにゃー・・・それを・・・お前が・・・お前のせいで・・・みんな無茶苦茶になったにゃー!!」

 まるで武器のように、手にした傘を突き出すアンブレラ。無論、この傘はただの雨傘ではない。武器職人であるアンブレラが、自身の持てるありとあらゆる暗器、防具知識を詰め込んで作り上げた、渾身の武具。“ナンバーズ”の一つ。“KARAKASA・10 唐傘・転(カラカサ・テン)”。

 そんな凶器を向けられながらも、対するものはあくまで静かにその場に佇んでいた。いや。動けなかった。

「ぐぬぬぬ・・・! 何空かしてるにゃーこの毛玉野郎!!」

 我慢で金といった様子で、その“物”に向かって食って掛かるアンブレラ。しかし、その言い草はあまりに酷いものだった。なにせ相手は毛玉などではなく、立派な“毛糸玉”だったのだから。

「お前を見てると、こう、思わず野生が刺激されると言うか、人としての尊厳をかなぐり捨ててじゃれまくりたくなるのにゃーぁぁぁ!!」

 なにか悔しいのか、滝のように涙を流しながら叫ぶアンブレラ。

「ん? まつにゃ? なんで理性を捨てちゃいけないのにゃ? にゃーは可愛いにゃんこにゃー。人としての尊厳なんてきにしにゃーい 余計な事など気にしにゃーい おお 愛してるんだ誰よりも強く お〜お〜♪」

 かなりの錯乱状態に陥りながら、フラフラとした足取りで毛糸玉に近づいていくアンブレラ。もう少しで指先が届く位置まで近づき、荒い息を立てながら震える手を伸ばした。しかし、今まさに手が触れようとしたその瞬間。

「あっぶにゃーい!!」

 まるで突然飛来した弾丸を避けるかのような綺麗なジャンピング回避で、毛糸玉から飛び退いた。

「あぶにぇー・・・。まじあぶにゃいっつの。焦ったのにゃー・・・。毛玉の魔力恐るべしにゃー・・・。」

 額を拭いながら、高鳴る心臓を叩くアンブレラ。何とかして興奮を抑えようとしているのだろう。

「まったく。にゃーはこんにゃことしている暇わないのにゃ! そこ!そこの青年!ちょっとこっちくるのにゃー!」

「お、俺か?」

 アンブレラに声を掛けられた青年は、驚いたように自分を指した。先ほどまでアンブレラの奇行にドン引きして硬直していた所を引き戻されただけに、反応は鈍かった。

「そうにゃー。にゃーは、君に会いに来たにゃ! デンノスケ! 本名“デン・ゼンネン”!! 自分達の故郷である追放魔獣たちの安息の地を守るため生きる戦士族の勇者にして、他の地を探索してその国が自分達の土地にとって危険で有るか無いかを調べる、放浪の旅人よ!!」

「なんだその説明的ななが台詞はっ! つか、なんでそんなこと知ってるんだ?!」

 古典的な平手突込みを入れる青年。ダメージは殆ど与えずに、パンッ、と言う小気味いい音だけを立てる当たり、相当なてだれであると言えよう。

 青年の名は、デン。大まかな説明は、アンブレラの言っている通りなので端折ろう。ぶっちゃけた事を言ってしまえば、作者がちょくちょく訪れるオリジナル系イラスト小説サイト様の看板息子さんだったりするのだが、話が生々しくなるのでその辺はあえて突っ込みを入れない方向で、後日リンクとか張ってみる方向でいってみようと思うのであった。

「にゃーっはっはっは! 君はこのレニスに来た時、異世界旅客者として入国管理局を通ったにゃ! そう言う面白い情報をにゃーが見逃すはずが無いのにゃー! ビバ情報か時代なのにゃー!!」

 断っておくが、レニス王国の情報管理体制は万全である。数多くいるプログラマやハッカーのなかでも、“人類の至宝”とか呼ばれるレベルの者が、Dr・フェネクスレベルの暇と手で書いたら二つ三つゼロを書き忘れちゃうような金を掛けてようやく侵入できるレベルなのだ。

「小真面目な性格が災いしたにゃー。お陰で今君は私やフェネクスみたいにゃ物好きに、徹底マークされてるのにゃー。」

「ぐっ・・・。」

 この世界の住人ではないデンの頭の中では。“情報化社会ってなんだろう。”とか、“二足歩行の猫って、ケット・シーじゃねーの?”とか色々な疑問が飛び交っていた。が、そんなことが同でもよくなるほど、“こんな連中にマークされてるのか。真面目に入国手続きなんてするんじゃなかったかも知れん。”と言う考えも首をもたげてきていたりしたのだった。

「ま、まぁ・・・今はそんなことはどうでも良い・・・。  俺もアンタに会いに来たんだ。機動鎧がどうとか。ッて言うんだろ?」

 デン自信も、アンブレラと接触を謀ろうとしていたのである。

「色々と聞き込みしようにも、人っ子一人いやしねぇ。 いるのは物騒な連中ばっかりだ。そこにアンタが近づいてきたみたいだったって言うからさ。」

 情報を持ち帰る事を優先にするデンにとって、聞き込みは大切な仕事である。しかし、いまのアクア・ルートは、“一般人は”歩いていない状態であった。 数年前まで戦渦にあったこの国の一般住民の退避能力は実に高いのである。

「にゃっはっはっは! そらー今は戦闘だらけで祭り見たいにゃ有様にゃ。誰も出てこやしないのにゃ〜。 誰だって、自分の頭の上に山を盆地にするような“移動島”がいたら、逃げ出したくもなるのにゃー。」

 頭上に浮かぶ移動島“イージス”を傘で刺し、高笑いを飛ばすアンブレラ。

「山を盆地・・・って、そんなに危険なのかアレ・・・!」

「そりゃそうにゃ。アレだけデカイのにゃ。バリアー、移動鎧、主砲に機関砲座。何でもおき放題にゃ。そうでにゃきゃー態々あんなでかいもん運用しないのにゃー。」

 目をむいて上を見上げるデン。自分達の土地を守る。それが至上命題であり、脅威になりそうな土地の情報を集めるデンにとってみれば、こう言う類ものもは危険物意外には見えないだろう。

「にゃ。 そんなことよりも、今日君に会いに来たのは、装備をプレゼントしようと思ってるからにゃ。」

「装備?」

「そうにゃ。言ってみれば君は威力偵察しに来ている様なもんだにゃ? 戦いながら敵の規模や装備を肌で感じるのが威力偵察にゃ。その君が装備が整わない状態でこの国をうろつくのは、非常に危ないにゃー。」

「それは・・・俺も思ってるけど・・・。 この世界はビックリ人間が多すぎる・・・。」

 額に汗とか浮かべながら唸るデン。実際はそんなにビックリ人間は多くないのだが、今この街の惨状を見ればそう思わずには居られないだろう。

「にゃっはっは! まぁともかくにゃ。僕は武器職人でにゃ。君に色々と装備を託す事にしたのにゃ。」

「本当か? しかし・・・金は無いぞ?」

「にゃ? そんなもんいらにゃいのにゃ。決まってるにゃ。」

「決まってるのか?!」

 ビックリしたような顔をして言うアンブレラに、たじろぐデン。

「にゃーは金じゃー動かないのにゃー。動く目的はただ一つ!」

 ピシリと指を立てて、背筋を伸ばすアンブレラ。

「にゃーの武器を使いこなせる人物にそれを渡す事のみ。にゃ。」

 突然真剣な顔つきで言うアンブレラ。それまでのふざけた様な雰囲気はまるで掻き消え、周りさえも凍てつかせるような意思を持ったその声は、聞いていたデンも思わず息を呑むほどであった。

「ま、とにかくだにゃ。ここじゃ話しづらいから、あそこにいくのにゃ。」

「あそこ?」

 訝しげに尋ねるデンに、アンブレラは背中を向けて歩き出しながら答えた。

「そう、あそこだにゃ。 スラムよりも薄汚くて危険。テメーの腕だけが物を言い、合法違法、様々な物が売り買いされるモノホンの“スラム”。 “冒険者横丁”だにゃー。」

「ぼ、“冒険者横丁”ぅ?」

 さっぱり分からないという顔をするデンを横目に、ニヤリと笑いズンズンと進んでいくアンブレラ。 彼が見かう先は、港の倉庫街。Dr・フェネクス等冒険者たちが住まう一区画。アンブレラの言葉通り、腕っ節が物を言い、冒険者たちが集めてきた古今東西の物品が流通する場所。“冒険者横丁”なのであった。

「なるほど・・・そこのほうが俺には合いそうだ。」

 ボソリと呟くデン。 ニヤリと口端を吊り上げると、「分かった。付いてくよ。」と、アンブレラの後ろに付いていくのだった。

博士の風変わりな研究と飯のタネ(31) なんか編集できなくなったから続きをコッチに書いて見たすぺしゃ

「うむ。 しかし、これ以上面倒ごとが起こらねば良いのだがなぁ。」

 手元のモニタを眺めながら、難しそうな顔をして溜息を吐く神津。そこに映っているのは、いまアクアルートで暴れている、賞金稼ぎと近衛騎士団員の姿だった。

「下はいま祭りのような騒ぎですからなぁ。厄介ごとは、これから増える一方でしょう。」

「そうならぬように願うのみよな・・・。」

 知れッとした副官の言葉に、心の底からの溜息を吐く神津だった。