博士の風変わりな研究と飯のタネ 番外編 教育番組「楽しいアクアルート探訪」

「あ!! てんめっ! なに放送機材使ってやがるんだ?! ゴラ!」

「む。いかんね。放送局をジャックして居るのがばれてしまったと思うのだがね。」

「そのようです。私とした事が実際の放送内容と放送が予定されていた番組を入れ替えていた事に気が付かれたのでしょうか。」

「はっはっは。執事くんのハッキング技術は完璧だからね。そうそうばれるものではないと思うのだがね。」

「なにテメーでやったことばらしてんだよ?!」

「ディレクター!! 放送予定だった「お昼の生討論」と謎の番組が入れ替わって放送されてますよ!!」

「犯人は奴等だ!! フンじばってアクアルート港に沈めろ!!」

「まずいね。ここはダッシュで逃げるべきだと思うのだがね。はっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」

「まっちゃーがれこのボキャァァァァァアアアア!!!」

 

(誰も居なくなった画面に、ぬっと現れる長身の男。表情は一切無い。)

「・・・・・・おお。テレビカメラだ・・・。 ・・・・・・ピース。 ん?」

(落ちていた台本を拾い上げ、パラ読み。 数秒で満足したのか、元の位置に戻す。 そして、近くにあった機材を引っ張ってくると、何事も無かったかのように画面に向かう)

 

「やぁ。 今週も始まりました。“楽しいアクアルート探訪”。司会のレニス・スタッカートです。 ・・・・・・ピース。

 この番組は、レニス王国の交通の要。アクアルートを歩いて歩いて歩きつくして、時々はみ出したり飛んで行ったりぶらり途中下車してみたりする。そんな皆さんの楽しい探訪ライフをサポートしていく。そんな番組です。

 では早速、今日のテーマから。“困ったらこの人に聞こう。&この人には関わるなっ☆”です。」(終始完璧な無表情。真剣さすら漂う。)

 

「どんな街にでも、困ったらこいつを頼れと言う人はいるものです。そう言った連中の多くは、頼られないと逆切れをしたり、襲い掛かってきたりする事が有るのは皆さんご承知の通り。なかには頼りにされないと頭が割れるように痛くなり、“は、早く頼れよ! 頼ってくれよ! 頭が・・・頭が割れそうなんだよぉォォ!!”と喚きながら首を絞めてくる、頼られジャンキーなる人種も存在しているそうです。 みなさんもこう言う人を見かけたらボランティアのつもりで、何か頼ってあげましょう。道を聞くとか。

 こう言う困ったさんにかち合わないためにも、キチンと頼れる人物を紹介しよう。
まずは、この男だ。

“考察の魔術師” エルフ。男性だ。 ルクリアド・ハウンバルク。 一見どこにでも居る私服警官だが、その実、高等思考透視魔術や遠方知覚魔術、精神体実体化魔術式の集合体である“魔眼”を使う化け物だ。先の大戦では私も随分世話に成った。常に飄々として笑顔の耐えない物腰の穏やかな男で、体力的にも攻撃、防御魔法的にも一般人レベルでは有るが、その洞察力と推理能力は、サイコメトラーとあだ名されるほどだ。 こう言うと得体の知れない生物に聞えるかもしれんが、基本的には人好きのする良い奴だ。触れてほしくないであろう過去には絶対に触れんし、口も出さん。ただ、頼めば出来る限り力を貸してくれる事だろう。 もっとも。それはルクのメガネに敵えば。の、話だが。

“ミケキャット”ミケ・ラフロール。 性別不明。女らしいが。 高度に発展し、様々なモノが魔法制御になったこの時代。ウェブと呼ばれる魔子情報社会を渡り、魔法仕掛けの機械を操り、情報を盗み出す者達が居る。連中にとってみれば、工事用の機械を暴走させるのも、情報上の金銭を動かすのも朝飯前だ。 そんな連中の中でも、脳を直接端末と接続させたその道のプロフェッショナルの事を、ハッカーと呼ぶ。 そんな連中の中で伝説となっているのが、ミケと名乗り常に猫のアイコンを使っている人物。通称を“ミケキャット”。 どう言う訳か非常に耳が早く顔が広いこの人物は、駆け出し中の冒険者に“ウェブでは出来ない仕事”を振ってくることが多々有る。最近ではそれを専門にしているらしく、依頼人と冒険者の橋渡しを生業にし出したらしい。 もし冒険者で、仕事を欲しているのであれば、端末を持ってみる事をお勧めする。仕事に炙れて暇をしているとき、突然猫の形をしたアイコンから、コールを受けるかもしれない。 勿論。伝説のハッカーが目をつけるだけの実力があれば、だ。

“雨傘の”アンブレラ・レインブーツ。 男だ。 長靴にこうもり傘。服装はぴっちりと着込まれたペンギンと言う出で立ちで現れる、二足歩行の黒猫。それがアンブレラだ。猫族と言う、思考力に優れた種族である彼は、“魔剣”と呼ばれる特殊な武具を作る事にかけては右に出るモノが居ないと言われる名工だ。Dr・フェネクスの盟友でも有る彼は、彼と同じくお節介焼きで快楽主義だ。 ただ、彼の傾向はDrのそれとは多少異なる。 一歩引いた位置から必要だと思ったときにだけ助言をし、頼られれば必要最低限の助力のみをする。成長していく人間を見るのが何よりも楽しい。と、いった具合だろうか。 そして、もしも彼に気に入られれば、名前に数字の付いた武具を与えられるだろう。 彼の作った武具で有名なものと言えば、近衛騎士団長ハウザーの“アシュラ・8(阿修羅重威斗)”だろう。これらの武具は、名に数字を冠されている事から“ナンバーズ”と呼ばれている。ちなみにDrの作ったものには全て色が入り、“カラーズ”と呼ばれている。

 

 ん。口調が戻ってしまった。・・・まあいいか。 次は、こいつ等には関わるな。だな。 どんな街にも、札付きの悪と言うのは居るものだ。肩だ当たっただけで骨折するような軟い体の癖に、喧嘩を売ってくる類の連中だ。 当たっただけで肩が外れたり骨折する相手に喧嘩を売ると言うのは、殺してくれと言うようなものがするんだが。どうなんだろうなその辺。 話がそれたな。 兎に角、世の中には関わっただけで物事を全て悪いほうにさそう者と言うのが居るものだ。関わらないに越した事は無いといえるだろう。次はその代表例を何人か上げるとしよう。

“Dr・フェネクス”無名の悪魔。 見た目の性別は男だ。 論外だ。腕に自信が有って、余程スリルを求めているか動物耳を付けた“萌え”キャラを目指すのでなければ、近づくな。・・・・・・“萌え”キャラ? ハウザーの仲間か?(それは燃えキャラです)

“魔弾の”ジェーン。 きっと女だ。 女性だな。 迂闊に近づくと噛み付かれるぞ。以上。

近衛騎士団一番隊隊長“イフリート・ザ・ダークナイト”ミレイ・クロセッカ。 近衛騎士団の一番隊隊長だ。 女性なのだが、これぞと言わんばかりの騎士だ。戒律に厳しく、己に厳しく、他人にも実に厳しい。 仕事熱心なのは良いし、ハウザーより真面目な騎士なのは言うまでも無いが、如何せん融通が効かない上に冗談も効かない。 この間城を抜け出そうとしたら、とうとうと王制に置ける王のあり方を説かれた。 途中で寝たら殴られた。王を殴るのはどうなんだろうな全く。

“白炎狼”テト・ウルフ。 男だ。 凶暴だ。狂犬と言って良いだろう。腹外空いていると人間にも関わらず言葉を前に拳か歯で答えてくる。 気が短いなんてレベルではないぞ。相手が強いと判断したら殴りかかるその習性は、どこの戦闘生物かと問いただしたくなるほどだ。ちなみに、近くに相棒であるガルシャラ・カーマインがいる場合は、安全だと言っていいだろう。飛び掛る前に止めてくれるからな。 しかし、彼が量産品の大量投入レベルの機動鎧ならば素手で粉砕する使い手であることにはなんら変化は無い。気を付けて。

 

 と、まあ、こんなところだろうか。まだまだこのアクアルートには、こういった“顔役”と呼ばれるその筋の案内人のような連中がわんさと居る。そう言う連中と関わるのは出来れば避けたいところでは有るだろうが、そう言う連中が居なければ、または関わらなければ、この街の、ひいてはこの国の本当の姿は見えて来ないだろう。 なにせアルベルトは優秀だからな。そう簡単に手の内は見せてはくれんだろう。奴が王になれば良いのに。 こういった連中とかかわり、表も裏も、アクアルート、レニス王国。しいては世界の造詣を深めていく。それはどんなに楽しい事だろう。

 それでは、今日はこの辺で失礼することにしよう。 また来週もお楽しみに。 司会は私。レニス王国国王。レニス・スタッカート。でお送りした。 ・・・・・・・・・ピース」(超真顔でピースサイン)

博士の風変わりな研究と飯のタネ 番外編 教育番組「社会科☆バンバン♪」

「やぁ! 画面の前のお友達、お元気かね! 私はDr・フェネクスこと、無名の悪魔おにいさんだよ! まあ、外見的にはお子様に見えると思うのだがね! その辺は勘弁して欲しいのだがね! 広い心で!

 では、早速番組をスタートしようと思うのだがね。 今日は、この世界がどのような仕組みで成り立ち・・・ぶっちゃけ世界設定の話をしようと思うのだがね!

 

 まずは国家と種族について話して行こうと思うのだがね。 元々、この世界では種族間争いや種族差別と言ったものは、極々希薄なのだね。 ハイエルフとドワーフが仲が悪いとか、ゴブリンは見下されるとか。ドラゴンだから無条件で強いなどと言った、他世界の常識はこの世界では一切通用しないのだね。 都会のマンションに引篭もっているハイエルフも居れば、土木工事で汗を流すドラゴン、それを顎で使う官僚がゴブリンだったりもするわけだね。 故に! この世界において、単一種族国家と言うのは、実に希少で有ると言える訳だね。 優秀であればスライムでも出世出来る。それがこの世界の国々の特長とも言えると思うのだがね。

まあ、もちろん。例外は有るわけだがね。

 話を続けよう。 もう一つ、この世界の国家について語る上で忘れてはいけないのは、時は既に、宇宙時代だと言うことだね。 そう。月はテラフォーミングされ、宇宙服無しで暮らせる衛星になり、隣の惑星、その隣の惑星。その隣の隣〜・・・と、言った具合に、生き物が暮らせるように改造された惑星は、両手では数え切れない数に及んでいる訳だね。それらには、母星でありアクアルートやレニス王国がある惑星“テラ”と同じ様に、無数の国家が存在する訳だね。 既に宇宙に飛び出していながら、星を統一する国家が存在しない。と言うわけだね。

 故に、どの国にとっても今一番の命題に成っているのは、国土の拡大。星統一。な訳だね。 国家にとって、広い土地とはそのまま力に繋がるわけだしね。人口、食物、資源。これらが無くては、お話に成らない訳だね。 特に今は、冷戦と呼ばれるほど、表面上は穏やかでも一触即発!のような国際情勢だからね。 国力を上げるためにも、何かしら理由を付けては他国を飲み込もうと、目をぎらつかせている訳だね。もっとも正面切って新緑戦争なんぞ仕掛けようものなら、あっという間にレニス王国を代表とする強国に潰される。故に、どこも身動きが取れない。と。そんな感じなわけだね。

 もっとも、それは高度に政治的な話のうえだけの話だね。基本的にはどの国も友好関係は良好で、世界中どこにでも旅行が出来るし、国民同士の感情も実に良好な訳だね。

 

 

 さてさて。次は、魔法について見て行こうと思うのだがね!

 魔法。コレには、様々な体系が存在するのだがね。 体内の魔力を使うモノ、体力を使うモノ精神力を使うモノ、それらに関係なく、別のエネルギーとして体力と同じ様に存在する魔力を使うモノ、自然界に存在する魔力を使うモノ、精霊から力を借り受けるもの。
その中でもさらに、呪文を唱えるのか魔方陣を書くのか突然力を振るえるのか。道具は使うのか使わないのか媒体は必要か書物による知識が必要か感覚だけで行使出来るのか。 形式を上げるだけでも限がないほど存在している訳だね。

 大量に有るこれらの魔法は、今はほぼ全てが解析され、学術として体系付けられている訳だね。古代の遺跡から発掘された古代魔法や封印魔法も、今や本当にポンコツとしか見られないほど、魔法技術は進歩している訳だよ。 先に話した、テラフォーミングにも、様々な魔法が用いられている訳だね。

 魔法の話が出たついでに、魔法によって動く道具の話もしよう。 皆は、テレビやインターネット、電話をご存知だね。使えなければこの番組は見れないわけだが。はっはっは。 これらは、実は私達の世界にも存在するのだね。魔法動力のものとして。 それどころか、魔法と言う技術はさらに進んでいるのだがね。

 一例を紹介して行こうと思うのだがね。 例えば。水に浮く船に、魔法を添付したらどうなるだろう。スクリューよりより効率的に水上を進めるわけだね。さらに、空を飛ばせる事も簡単だね。“フライト”系の魔法を行使できるように、仕掛けをつけてやれば良い訳だね。コレを応用した、現代魔法工学における最高の技術の結晶とも言えるのが、“移動島”だね。 文字通り、移動する島な訳だね。 大量の兵器を積み、島クラスの魔方陣を搭載した移動島は、まさに最高の戦力と言って良いと思うわけだがね。

 次の例は、皆大好き、機動鎧だね。 機動鎧。ナイトゴーレム。MD。様々な呼ばれ方をするこれらは、ゴーレムと呼ばれる魔法人形を、人が操縦するように改造したものな訳だね。 考えてみて欲しいと思うのだがね。 魔法で組まれたロジックと、人間。どちらが優秀な判断を下し、巨大なゴーレムを動かせるのか。そして、動かす人間は魔術師が良いのか。それとも歴戦の戦士が良いのか。 答えは言うまでもない訳だね。

 ロジックなんぞよりも人間。それも、戦い慣れた戦士のほうが数十段強い。

 その理論の元製作されだしたのが、今の機動鎧の走りになる訳だね。想像してみて欲しいと思うのだがね。強靭な体躯に、大量の添付魔法を施され、歴戦の戦士の頭脳を持つ、巨大な兵士を! これらは添付魔法により空をかけ、信じられないほどの神速で動くわけだよ! 兵器開発者として、これほど作っていて胸躍る兵器はない訳だね!

 さて。このように、宇宙戦艦どころか、ロボットのようなものまで存在するこの世界。 実に恐ろしい世界だね。 私としては古代魔法文明とか他の世界で言われているのは、今この文明のことなのではないかと思うレベルな訳だがね。

 

 

 では。今日のまとめと行って見よう!

 1種族差別ってなんですか?

 2魔法があれば宇宙にだっていけますよ。

 3魔法ならガン○ムだって作れます。

 と、今日はこんなところだね!

 次回は、個人兵装について、話して行こうと思うのだがね!

 では、最後に挨拶をしようと思うのだがね! 社会科〜・・・(タメ)

 バンバーン! 次回も見てくれると嬉しいと思うのだがね〜。はっはっはっはっはっはっはっは。」

書き進める

科学のように魔法技術が進み、まるで未来の世界のように文明が進んだ。そんな世界。

人々は会社に勤め、学校に通い、整備された道を魔力で走る車に乗って走り、空輸や船で運ばれた商品を量販店で買い求め生活していた。

 

が、しかし・・・。

時代に逆行するように。 冒険を。戦いを。探検を追い求めるもの達が居た。

冒険者。探検家。傭兵。発掘人。名乗る名こそ違えど、彼等が求めるものは大抵この三つに限られた。

即ち。“金”。 “名誉”。 そして。飛び切りの “スリル”。

進んだ魔法文明がもたらしたのは、平和な家財道具だけではない。様々な戦闘用の道具が生み出された。

金と名誉とスリルを愛する彼等が、そんな魔法の武具の数々を見逃すなどと考えられるだろうか?

あるモノは空飛ぶ船で世界を飛び回り。あるモノは10mを越える巨大な操り人形でドラゴンを狩り。 またあるモノは己の体全身に魔法の言葉を刺青し、自らの強さを高みを目指した。

 

これは、そんな世間一般からはみ出し、自分達の好き勝手に暴れまわり、やりたいことをやって生きている無法者たちの物語。

まあ。連中のすることが物語と言うほど高尚なものになるかどうかは・・・。保障しないが。