レニス王国宰相 アルベルト・ストラルフ(4)

 アルベルトの朝は早い。基本的に日が昇ると起きてしまう体質である彼は、明け方ごろには、城内の自分の執務室のソファーから起き上がる。

 宰相と言う重役な彼が、何故ソファー? と、思う人も多いだろう。 あまりに多忙すぎる彼は、基本的にベッドで寝る時間も無いほど働きづめているのだ。寝る直前まで仕事をし、気絶しそうになったらソファーに転がるのだ。

「・・・はぁ〜・・・。 ・・・宰相なんざ辞めてやる・・・。」

 一日に四十回以上口にする台詞と共に、起き上がる。何時もの事である。

 起き上がるとすぐ、のろのろとした動きで執務室を出て、城の中の兵士たちが使う大浴場へ向かう。 普通、宰相クラスにもなれば自分の個室があり、浴室も専用のモノが有ったりするものだが、「そんなもん作る金あんなら路上募金にでもくれてやれ。」と、アルベルト本人が設置を頑なに拒否したのだった。故に、城内で彼の部屋と呼べるのは、唯一執務室のみなのだった。

 さて。兵士たちの使う大浴場は、基本的に二十四時間営業だった。城の庭を掘ったら出てきたと言う温泉を使用しているため、城とは別棟に組んであったりした。 ちなみにこの浴場、一般にも公開されていたりした。そのために、ほぼ共同浴場と化しており、卓球台やらマッサージ器まで置いてある始末である。

 “おいでませ大浴場 〜国王の湯〜”と書かれた暖簾をくぐり、受付に立っている女性に小銭を渡す。内装はやたらと小奇麗で、完全に観光地化されているような様子だった。

 まぁ、疲れを癒す場である。汚いより、綺麗な方が良い。そんなことを思いながら、なれた様子で、アルベルトは受付嬢からタオルを受け取った。

「宰相閣下・・・。お仕事も良いですが、お休みに成られないと・・・。今にも死にそうなお顔をされていますよ?」

「そう簡単には死なねーよ。つか、俺が居なくなったら誰があのアホ王のお守りすんだよ・・・君やってくれる?」

「お断りします。私、この受付カウンター気に入っていますので。」

 何時ものように軽口を交わし、アルベルトはよろよろとした足つきで男湯の方向に歩いて行く。途中何度かこけそうに成るものの、なんとか体制を立て直して歩くのだった。