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 猫人と言う種族が居る。 一言で言えば直立した猫。二言で言えば、やたら賢い直立した猫だ。

 基本的に孤独を好みながらも、人付き合いは好きと言う良く分からない矛盾しているようなしていない様な非常に微妙な彼等種族の多くは、発明家や研究者であった。 数が少ない種族である事と、その類稀なる探究心と頭脳から、非常に珍重される種族であった。

 そんな猫人の一人。“アンブレラ・レインブーツ”は、爆音と怒号が飛び交う“アクア・ルート”を。まるでステッキのように傘を突いて歩いていた。 ノリの効いた下ろしたてのように綺麗なペンギンを着こなし、シルクハットを被ったその姿は、なかなか様になっていた。

「都会は相変わらず騒がしいにゃー。にゃーの町にゃんかじゃー、こんなドンパチもおきにゃいにゃー。 フェネクスがうらやましいにゃー。」

 ルンルンと鼻歌を歌いながら、とことこと歩くアンブレラ。ちなみに、猫人の名誉のために言って置くが、全ての猫人の語尾が「〜にゃー」な訳ではない。寧ろそんな奴は居ないと言って良いだろう。 そう。アンブレラはわざとにゃーにゃー言っているのだ。

「でも、にゃー見たいな非力な頭脳労働タイプには、この街は危なすぎるにゃー。たまーに新人発掘に来るくらいがちょうど良いにゃー。おのぼりさんになるって言うのも、良いもんだしにゃー!」

 にゃーっはっはっはっはっは。 笑いながらも、歩みをやめないアンブレラ。その足取りは軽く、まるで遊園地に行く子供のように楽しさに浮ついている様子だった。

「にゃんたって今回来た異世界からの客人は、“勇者様”にゃー!! 英児はフェネクスに、陽二はスートに取られたにゃーけど、今回はにゃーが一番乗りして装備をプレゼントフェーユーするのにゃー!! そのために、わざわざ機動鎧まで引っ張って来たのにゃー!」

 興奮しているのか、ブンブンと傘を振り回すアンブレラ。ついでに尻尾も千切れんばかりに振り回している。 普通猫は感情表現に尻尾をあまり使わないものだが、アンブレラはそう言う常識に縛られない男なのだった。

「あ。でも、異世界からの客人にゃー。どうコッチの世界の道具の説明したもんかにゃー? 専門用語出して説明したッて分かるはずにゃいだろーし。そんな意味ナッシングな分かり難い説明しても、混乱させるだけにゃー。真に頭の良い説明は、幼稚園児でも納得できるもんだって、にゃーが言ってたにゃー・・・。」

 しばし黙考。

「ま!! にゃんとかにゃるにゃる!!! にゃーっはっはっはっは!! さー!機動鎧渡すのにゃー!!」

 高らかに笑いながら、尻尾と傘を振り回すアンブレラ。

 この、身長120cm弱。猫人の平均身長である160cmを若干下回った小柄な彼は、これでもかと言うほどご機嫌に街を歩いていた。

 勿論。彼の頭の上では弾丸が飛び交い、近衛騎士団の面々が機動鎧やら特殊装備で冒険者やら賞金稼ぎ、何故か紛れていたアサシンギルド員なんかを蹂躙していていたりしていたが・・・。 浮かれているアンブレラにとっては、“そんな些細な事”など、どうでも良かったりしたのだった。