レニス王国宰相 アルベルト・ストラルフ(3)

 アルベルト。 アルベルト・ストラルフ。 若干十三歳にしてレニス王国と言う、世界随一の戦闘国家の宰相を務める男である。

 “英雄王”“勇者”とも呼ばれる現レニス王を、冒険者時代から支えてきたアルベルトにとって、今こうして宰相の地位に居る事は予定外以外の何ものでもなかった。

 

 ほんの一昔前のことである。

 この世界には、レニス王国と並ぶ巨大国家が存在していた。もっとも、それは核力があって、人工が多く、国土が広いと言うだけの事であって。軍事力の面で言えば、レニスには及ばないものであった。 比較的穏やかで温厚な気質であったその巨大国家は、他国に食糧を輸出する事で成り立つ国であった。しかし、そう言った国の常とは反し、裕福な国でもあった。 国王が良制を敷き、他国との交渉も匠だったためである。

 莫大な量の食料を武器に交渉のみで他国を退け、飄々と外交をくり広げる様は、多くの政治家を目指すものの手本とも言われる程だった。 しかしその評価は、ある日を境にがらりと変わる事になる。

 その巨大国家が、世界の覇権を握ろうとした事が発端になり、その“大戦”は幕を上げた。今から約、10年前のことである。

 その大戦で、アルベルトはレニス王国の一軍人として戦場に赴く事になった。当時三歳であったアルベルトだが、彼自身のとある“特殊能力”により実年齢の数十倍の年齢を経たものの如き知識と魔力を有していた。それにより、彼は多大な功績を残す事になった。 現在のレニス王との、現在にも至る友情を育んだのはこのときである。

 度重なる戦乱が終結し、世界に再び安息が訪れた時。 それまでアルベルトと同じ一軍人であった“レニス・スタッカート”は、前王の意思により、後任の王として玉座に着いた。

 この大戦が始まるきっかけともなった人物であり、“魔人”とされていた人物と、その側近たちを、たった“五人”で殲滅した“勇者”の一人に対する、前レニス王からの最大級の賛辞であった。

 この日を境に、アルベルトの進む道は決まった。

「戦いが終ったら冒険者になる。」

 口癖のようにそう語っていた少年が、世界最年少の宰相として、世界最強の国“レニス王国”の舵を取ることになったのである。

博士の風変わりな研究と飯のタネ(24)

「あぁ〜。マービットです。 どうっすか周りの様子。」

 ハウザーとガルシャラが戦っているところから、数百m離れた、ビルの外壁。そこから飛び出している窓に機用に腰掛けながら、マービットは通話回線を上空の“イージス”に繋げた。 額や眉間に白彫りされていた魔法陣が淡い色で輝き、その効果により通話を可能にしているのだった。

『随分と賑やかでござるな。戦でも始まったような騒ぎ・・・。』

 マービットの視界の端に四角いウィンドーが開き、直立して和服を着たウサギの胸像が浮かび上がる。 無論、擬人絵ではない。映っているウサギはマービットが通信をしている相手であり、“イージス”の指揮官。王立近衛騎士団 二番隊隊長“神津 雅平(コウズ マサヒラ)”だった。兎人と呼ばれる種族である。

「戦って言えば戦だね。隊長、久しぶりに張り切ってるから。あんな嬉しそうな隊長、久しぶりだよ。 やっぱ昔ッからの腐れ縁は大切だよね。」

『腐れ縁? “要塞落し”とは長い付き合いなのでござるか?』

「まーね。俺達がまだ片田舎に飛ばされてた頃にしょっちゅうやりあってたんだよ。国境近くだったから。奴等、正規ルート通っての国境越えなんてするタマじゃないでしょう? もう隊長怒る怒る・・・。」

 楽しそうに思い出し笑いを噛み殺すマービット。 ふと、本来の目的を思い出し、咳払いを一つする。

「“城落しの”ガルシャラ・カーマイン、“白炎狼”テト・ウルフ。この二人以上の大物は居なさそう?」

『“二十日鼠”に・・・元々このあたりを根城にしている連中だけでござるな。あとは某の獲物である“七海殺戮海賊団”くらいでござろうか。 他のものは軍警や・・・。一番、三番、四番、五番隊の暇をしている連中がひっとらえている様でござるな。』

「ん? 俺も隊長もそんな指示は出してない・・・って、言いたい所だけど・・・。」

『目の前に餌をぶら下げられて、お預けの効く連中は動いてなどおらぬのでござるがな。一部のモノが自主的に騎士団の装備を使って鎮圧しているようでござる。』

「だよねぇ・・・そうなるよねぇ・・・。 まあ、そう言う連中が集まってるからこその我が騎士団、ってことだよねぇ。」

 くすくすと、にやけ笑いを浮かべるマービット。人好きのする綺麗な顔に微笑を浮かべ、スリスリと顎をさする。

 元々、軍内部、外部問わず。実力のみを見極められ選抜、編成されたのが“近衛騎士団”である。そのせいか、一人一人の色が非常に濃い。軍規も騎士道も関係なく、暴れたいから暴れると言う輩も、少なからず居る。 しかし。そう言う連中も各隊長には頭が上がらない。

 故に。“隊での行動外”である休憩、休暇中の連中は、コレ幸いと暴れている。と言うわけである。

「まあ、いいよ。うん。そろそろ隊長連中も動くと思うし。特に命令は出さないね。」

『御意。 では大物以外はそれらの者たちに任せることに。』

「うん。君は“七海殺戮海賊団”の相手してあげて。 ああ、潰さないでね? 追っ払うだけで良いから。街中で落とされたらたまったもんじゃないし。」

『は。心得てござる。』

 深々と頭を下げる神津。と、思い出したように顔を上げる。

『そうそう。部下が面白い情報をネットから拾ってきたのでござるが。』

「へぇ?」

『アッシュ。この騒動の中心賞金首なのでござるが。個人賞金会社で、特別手配が付いたようでござる。ほんの数十分前なのでござるが。』

「額は?」

『一千万。』

「一千万? なにそれ! 豪邸立つよ?!豪邸! で、誰なのそんな賞金かけたのは。」

『調べているのでござるが、どうにも・・・。今しばらく時間をいただきたく。』

「個人情報、か。信用第一の商売だもんね〜。」

『それと・・・。もう一つ。 “名も無き悪魔”Dr・フェネクスが、この件に首を突っ込んでいるようでござるな。』

 Dr・フェネクスの名を聞いたとたん、マービットの顔がグニャりと歪む。

「勘弁してよ・・・あの人・・・いや人じゃないけど・・・あの人がかかわると全部が全部大事になるんだよ・・・。 下手したら“アサシンドール”出さなくちゃいけなくなるのかなぁ。そうなると隊長の“シルブリントップ”?  ん、そう言えば、“二十日鼠”は誰かと交戦中なの?」

『は。“魔弾”と、“新田 英児”。両名と交戦中。どうやら二人対“二十日鼠”の構図な様子。』

 何かもう。居た堪れなくなって頭を抱えるマービット。

「そこ。絶対、機動鎧戦になる。断言しても良い。」

『で、ござろうな。 某等が介入致しましょうか?』

「いい。余計拗れる。 あのDrが居れば、街中で暴れる事は無いしね。 街中では。 ほかでは知らないけど・・・。 それに、下手なの持って行っても装備減らされるだけだよ。人員タダでさえ少ないんだから。あれだ、Dr関連の奴は監視付けるだけにして。」

『触らぬ神に祟り無し。 御意。 それでは某は海賊退治と参る事に。 副長も御武運を。』

 その言葉を最後に、通信が切れる。それと同時に、上空の“イージス”がユックリと動き始めた。

「それにしても一般人の退避早いなぁ。この国は・・・。戦時中の名残だね。」

 周りを見渡し、溜息を付くマービット。と。

「話は終った見てーだなぁ? 態々待ってたやったんだ。楽しませろよ?」

 横合いからそんな声が聞えてきた。 声の主は振り返らずとも分る。 “白炎狼”。

「あぁ〜。テトさん。待っててくれたついでに、見逃してくれると有り難いんスけどぉ〜。」

「なわケネーだろ。ふざけろボケ! ガルシャラばっかり楽しませてたまるかってンだ!」

 噛み付かんばかりの勢いでがなり立てるテト。

 不敵で凶悪な笑顔を浮かべるテト。それを見ながら、マービットは先ほどまでとは別人のような、頼りなさげな引き攣った笑顔を浮かべるのだった。

博士の風変わりな研究と飯のタネ(23)

 真っ黒な光沢の無い布製のライダースーツ。それが一番近いだろうか。 全身を覆うそれに、同じく黒のロングブーツ。手には丈夫そうなグローブ。顔はフルフェイスヘルメットに暗視ゴーグルを取り付けたような奇妙なヘルメット。

 見るモノが見れば、一目でそれと分る“魔道添付式強化装備”で身を固めた複数の人が、いつの間にかぞろぞろとジェーンと英児を取り囲んでいた。

「おいおいおいおいおい! なんだよありゃ。 もう近衛騎士団が出張ってきたのか?」

 英児は舌打ちをしながらも、ジェーンに向けた構えを崩さなかった。 ジェーンの方も、英児に向けた銃口を微動だにしないまま、周りの状況を窺っていた。 御互い、周りを取り囲むフル装備の集団より、目の前の一人の方が危険だと判断しているのだ。

「馬鹿かお前は。近衛騎士団は大量生産の標準装備なんてしない。実働部隊は全員特性に合った一点もので固めてるんだよ。中には一人で一億近く使う奴もいるんだよ。」

「一億・・・?! ええっと、俺の世界のレートでアレが約一万円でこっちでは百だから・・・。百億円だぁ?! 何に使うんだよそんなに!!」

「知らないよそんなもん。それより目の前の状況でしょう。」

 英児は僅かにも動かないまましばし黙り込むと、苦々しそうに一言。「“コレ”生き物じゃねーな。」

「人形だね。確かに。多分・・・。“パペッター”辺り? こんなに大量に使えるのって。」

「パペッター? 人形遣い? 一人称の方か?」

「一人称の方ね。“二十日鼠”の“パペッター(人形使い)”。」

「その通り!!」

 にらみ合いながら言葉を交わすジェーンと英児の横合いから、突然宣言するような大きな声が上がった。声の主は胴衣のような服を着て、荘厳で大振りな杖を装備した少女だった。

「“二十日鼠”戦士団登場!! あんた達二人は完全に囲まれてるわ!! 大人しくその賞金首諦めて帰りなさいよ!!」

 なぜか人形の肩に足をかけ仁王立ちしつつ、シュナはジェーンと英児に向かって人差し指を付きたてた。

「・・・おい。なんか言ってるぞ。リアクションしてやれ。」

「知らないわよ。おら。あんたこそあっち向いてなんか言ってやんなさい。」

「ちょ、ちょっと! なに無視してるのよ! さっさととっとと帰んなさいよ! 賞金首のアッシュは私が捕まえるんだから!」

「あー、うっせぇ! 黙って消えろ!」

「色々面倒臭くなる前に帰んなさい。」

 完全に囲まれ、脅されているにも拘らず。動じるどころか意にもかえさない。

「ひ、人を馬鹿にして・・・!人の話聞いてるの?! さっさと! とっとと! 帰りなさいよ!!」

「うるせぇーなぁ〜。戦争屋は大人しく合戦場で金稼いでろ。あんまりはしゃぐとぶっ飛ばすぞ。」

 英児の言葉に、シュナはかぁ〜っと顔を赤くした。怒っているらしく、表情を険しくする。

「ふざけないで!! たかが冒険屋と傭兵二人が私達を無視するだなんて・・・! 頭おかしいんじゃないの?! 取り囲まれてるこの状況が分らないの?!」

 シュナが、“たかが冒険屋と傭兵”と言った瞬間だった。それまでにらみ合っていたジェーンと英児の顔が、ぐるりとシュナのほうに向いた。 表情こそにらみ合っている時と変わりないものだったが、その眼光は、見るものを射抜かんばかりに鋭いものになっていた。

「このお子様体系・・・。たかが?たかが冒険屋? どの口がそんなこと言ってくれちゃったのかしら? ああ?」

「その台詞。俺に喧嘩売ってるってことだよなぁ? こら? おい?」

 恐ろしい勢いでガンを飛ばすジェーンと英児。

 この二人それぞれにとって、自らの職の名と言うのは、神聖なものだった。決め付けられたら、「決め付けてんじゃねぇ!」と喚き、やれと言われたら、「死んでもやらねぇ!」と言い返す二人である。ともすれば職の名で括られるのも嫌いそうなものだったが、実際は違っていた。 彼等にはそれぞれ、職に対して“理想”があった。それは実現可能な理想であり、それは理想と言うより寧ろ、騎士道や武士道の様な戒律であり決まり事であり、貫くべき流儀と言うべきものだった。 それを頑なに守り貫く事を自分に課し、それを貫き続ける。その証が、職として名乗る“冒険屋”であり、“傭兵”なのだった。

 それを馬鹿にされた二人の怒りは、並大抵のものではなかった。 それはもう、さっきまで殴り合っていた相手と無言で共同戦線を張るほどである。

「その台詞吐いた事・・・体で後悔させてやる!」

「泣いて謝っても許さないから。覚悟しなさい?」

 ジェーンと英児の尋常ではない迫力に、シュナも一瞬で地雷を踏んづけてしまった事に気が付いた。 二人の実力は、シュナも良く心得ている。怒らせて本気を出されたら、かなりまずい事も良く分っていた。 が。

 今のシュナにとって一番大切なのは、“賞金首を捕まえる事”であった。そのためにはまずこの二人を速やかに排除しなければならない。現状では、このまま何事もなく帰ってもらうことは不可能だろう。ならばどうするべきか? 答えは一つである。

「ふん! その言葉、自分達の置かれた立場を弁えて言うことね!!」

 売られた喧嘩を最安値で買う。 そう。それがシュナの出した答えだった。 と言うか。シュナにしても、無視されたりお子様体系呼ばわりされてかなりご立腹だったのだ。

 まあ。ぶっちゃけた話。三人ともあまり気の長い落ち着いた性格ではなかった。と言うことだろう。

ハウザー&マービット バトンに応えてみる訳なのよ。

マ「隊長〜。“ペアバトン”成るものを拾ってきたっす〜。」

ハ「武器か?!」

マ「違うっす! こう、質問に答えてそれを公開するって言う〜。まあ、流行りものっすねぇ〜。」

ハ「ほ〜。 見せてみろ。 なになに・・・これ二人組みが答える質問じゃねぇ〜か。俺が答えると成ると片方はお前か。」

マ「俺ら大概二人で行動しますからねぇ〜。 ・・・・・人増やしましょうよ。マジで。切実に。」

ハ「俺がぶっ壊してお前が後処理。二人で十二分だろうが。 よし。早速答えていくぞ。」

マ「あ。今ちょっと泣けてきたっすよ? 俺。」

 

Q・二人の関係は?

マ「部下!」

ハ「上司!」

マ「(まあ、俺的には部下って言うか。従者って言うか右腕って言うか。腹心ってのが一番ぴったり来ると思ってるんすけどね。 昔隊長から受けた恩。命で払うつもりっすから。)」

ハ「なんか言ったか?」

マ「いえ。隊長の下についてから、かれこれ十年経つかなぁ〜。って。」

ハ「ああ。そのくらいになるか。早い。」

 

Q・相手はどんな人?

マ「鬼っす!悪魔っす!! 部下の扱い方が半端無く荒いっす!! 移動は絶対ランニングか突撃っすし、訓練量も半端じゃないっす!! 人より毒に強い俺が泡吹いてぶっ倒れる毒キノコ平気で喰うし、ドラゴンを素手で絞めるし、アイアンゴーレム拳で粉砕するし!! 良くアレで結婚できたもんだとマジで思うっす!!」

ハ「マービット。テメー、後で絞めるから覚えとけ・・・。 コイツはアホで半端で軽薄で無責任で面倒臭がりでどこででもすぐ寝て万事においてやる気の破片も見せん奴だが・・・頭だけはキレる。妙なコネクションもある。 事、情報収集、潜入なんかの諜報活動なんかは、全て任せてある。」

マ「隊長。なんか俺に後ろ暗い事が・・・!」

ハ「ねーよ。 俺だって褒めることだってある。」

 

Q・相手のどういう所が好き、または嫌い?

ハ「好きなところ? きもちわりーなぁおい。特になし。 嫌いなところ。優柔不断。ボケ。アホ。なよなよしてる。落ち着きが無い。言動がムカつく。話し方がムカつく。へらへらしてる。すぐ寝る。常にフラフラ動いてる。訓練をすぐサボる。不精。そのくせ遊びにはいつも全力。以上。」

マ「良いとこなしっすか、俺?! ええと、好きなところ。頼りに・・・つか、尊敬する上司っすから。強いて言えば全部好き・・・あ、でも嫌いなところも有るっす。すぐ殴る。すぐ蹴る。すぐ槍で突く。ムカつくとすぐ切れる。だれかれかまわず切れる。でもって殴る。理不尽に強い。上司はガンムシするくせに、妙に騎士道精神に忠実。職務にも忠実。でも騎士道は自分のオリジナル要素満載。計画的に見えて実は行き当たりばったり。方向音痴。領民には無茶苦茶優しいのに部下(自分)には悪鬼の如く厳しい。その他もろもろ・・・。」

 

Q・普段相手といるときどういうことする?

マ「仕事っすね。殆ど。巡回とか書類整理とか訓練とか。 それ以外だと、ゲームっすかね。 こう見えて隊長、意外とゲーマーなんすよ。特にトレーディングカードゲームの類。しかも無茶苦茶強い! 俺が教えたんすけど、今じゃどうやっても勝てないっす。」

ハ「テメーは真面目に戦術くまねーからだ。 まあ、俺ら暇だからな。基本的に。息抜きのつもりが、のめり込んじまったり楽しみになっちまったり。」

マ「今じゃ休み時間九割がたゲームしてるっすよねぇ〜。」

 

Q・もし相手の性別が逆だったら、どんな関係になっていそう?

ハ「今のままだと思うが。」

マ「俺も同じっすねぇ〜。(実際は多分自分が一方的に惚れて押しかけ女房状態になりつつ、濡れ仕事こなす事に成るんだろうなぁ。 男でよかった。と、思ってる)」

 

Q・もし相手が突然いなくなったらどうしますか?

ハ「どーもしねぇ〜。」

マ「う〜わっ。なんすかそれ〜。」

ハ「テメーはそう簡単に死ぬタマじゃねぇしな。ガキじゃあるめぇ〜し。 テメーは何があっても俺の元に生きて帰ってくる。」

マ「・・・。」

ハ「ま、帰ってこなかったら探し出して、「テメーなにバッくれてんだ」って殴り飛ばす。」

マ「・・・?!  お、俺の場合は、全く心配しないっすね。隊長何が合ってもビクともしないっすし。仕事ぽっぽりだして蒸発するような甲斐性の有る人じゃないっすし。きっと仕事してるんだろうなぁ。とか思いつつ、遊びにいくっす〜。(実際は半狂乱になりながら探し狂うんだろうなぁ。と、思ってる)」

 

Q・バトンを回したい二人組を指名して下さい。

マ「あ、終わりっすね。」

ハ「指名してください言われてもな。放置!!」

マ「誰か適当に持ってってくださいっす〜。」

ハウザー&マービット マービットの過去なのよ 「アリシアの場合」

 アリシアは何時ものように遊びの広間の端。誰の目にも付かない場所に腰を掛けると、そこでやっと緊張の糸が切れたように溜息を吐き出した。

 個室は二人一部屋で、かえって落ち着く事が出来なかった。 例え一人でくつろいでいたとしても、同居人が帰って来たドアの音で、パニックに陥りそうになるのだ。 逆に同居人が長時間帰ってこなかったとしても。訓練の最中に死んでしまったのではないかと、気が狂いそうになるのだった。

 アリシアにとってこの訓練施設での生活は、もはや正気を保っていられるものではなかった。

 今までいた訓練施設でも、次から次に周りの子供達は死んでいった。 食事に混ぜられた慣らし用のクスリで。 戦闘訓練中に事故で。

 一人。また一人死ぬたび、アリシアや他の子供達は、悲しげに目を背けたり、泣きじゃくったり。当たり前の反応を見せた。 訓練官には感情を殺せと言われたが、まだ幼いアリシア達にとって友達とはかけがえの無いものである。 まして、このような特殊な条件下を共に生きて来た仲間で有れば、直の事だ。

 しかし。“この訓練施設の子供達”は違った。 あるモノは別に興味が無さそうに。あるモノはお腹を抱えて笑いながら。あるモノは困ったような悲しいような嬉しそうな、感情の捉え難い表情を浮かべて。あるモノはクスクスと可笑しさを噛み殺す様に笑いながら。 反応に違いは有るものの。その裏側にあるのは、同じ。 ああ。アイツ死んだんだ。 それだけである。そう。それだけなのだ。

 普通の人間が見れば、それはそれぞれの表情が物語る感情しか汲み取る事しか出来ないだろう。 顔に浮かぶ色それほどの鮮明で鮮烈で、しっかりとした輪郭を持った確固たるものに見える。 しかし。子供の観察力と言うのは侮りがたいものだ。特に、彼等のように死と隣りあわせで、いつもビクビクと周りを警戒している子供たちの洞察力は。

 別に感想なんて無い。感情も無い。 死んだと言う事象を確認するだけ。

 後から施設に来た子供たちにとって、その死への関心の無さはそれそのモノが恐怖の対象だった。なにせ他ならぬ、“自分達が目指すアサシン達の感覚”がそれなのだから。