博士の風変わりな研究と飯のタネ(21)

 東洋の神。阿修羅から名を取ったハウザーの鎧。“アシュラ・8”。その特殊な運用方法から、装備できる武器はごく限られていた。即ち、突撃用の槍のみである。 他の武器も持とうとすれば持てるだろうが・・・音速を超える突撃に耐えるためには、刀や剣では心もとない。 ハウザー自身、元々槍使いであったため、好都合でもあった。

 対するガルシャラの装備は、大振りの剣と二振りの短刀。それと、金属と炭素繊維で編み上げた、高硬度鞭である。 完全武装のハウザーに対し、黒いTシャツに黒いパンツ。サングラスと言うラフな恰好のガルシャラ。 一見武装で圧倒しているかに見えるハウザーではあったが、ガルシャラと睨みあうその姿に油断や隙は一切無かった。 それどころか・・・。 恐ろしいまでの殺気を、隠そうともせず放っているのだった。

 ガルシャラが弾いたビールの王冠は、まるで弾丸のような速度で地面に向かって落ちていった。 下に向かって思い切り弾いたのだから、無理も無い。

 普通ならズルっぽいこの行動だが、常人と反応速度やら反射神経やらが桁違いなこの二人には、この位が丁度良いのだ。

 高速で打ち出された王冠は、地面にめり込み拉げ、まるで弾丸が着弾したような音と砂煙を上げた。

 最初に動いたのはハウザーだった。 王冠が地面に設置した瞬間、背中と太股のブースターを吹かすと、ガルシャラの足元を狙いランスを突き出しだ。 突き出されたランスは、ただの鉄の塊ではない。超振動粉砕機能を有し、今まさにその性能を遺憾なく発揮している凶器だ。

 一瞬で接近してくるランスに、ガルシャラは軽く横移動で対処避けると、すぐさま腰に括りつけた鞭を引き抜いた。 しかし、抜ききりハウザーの方に体を向けた時には、既にその姿は十数m離れたところに有った。