博士の風変わりな研究と飯のタネ(18)

「ふむ。手も無く一機落とされてしまったね。まあ、相手はボスクラスなわけだから、早々簡単に攻略できたら意味が無いとも思うわけなのだがね。」

 はっはっはっは、と、高笑いしながら、Dr・フェネクスは“遊び場Z”のコントローラーをガシガシと叩きまくっていた。

 ちなみに、“遊び場Z”とは。家庭用ゲーム機の一つのことで、コアなゲーマーしか客層にはしねぇ。と言う態度丸出しな、いっそパソゲーで出せよ的なマニアックなゲームをもさもさ出しまくる超マイナーゲームハードである。

 Dr・フェネクスが今見ている画面には、へこんだ地面にめり込み仁王立ちするハウザーが映っていた。

「適当にうろついていたゴーレムタイプをハッキングして徘徊していたのだがね。 まさか王立近衛騎士団 団長、“超越騎士”“破壊王”“戦場壊滅者”“一人一個師団”“オーガナイト”“壊し屋”・・・“白銀の重戦車”!!“ハウザー・ブラックマン”とかち合うとわね! いや、運が良い! もっとも、彼が移動は全て自分の足でする主義なのは知っていたからね! 移動要塞のした辺りにいるだろうと当たりをつけてきたわけではあったのだが、ここまで早く見つけられるとは!!」

 そう。ハウザーに今群がっている機動鎧は、Dr・フェネクスが魔道頭脳にハッキングし、街中を徘徊していたのだ。 普通ならば街中で兵器運用などもってのほかなのだが・・・今は普通とよ別状態ではなかった。

 賞金首、“アッシュ”を巡る攻防が開始されてから数時間。 状況は徐々に悪化して行っていた。 国内でも有数の治安を誇る“アクアルート”。 だが今は、多数の冒険者やら戦士団やら、挙句、暗殺者やら賞金稼ぎまでがアッシュを追って、激戦をくり広げている。

「それぞれがそれぞれの理由で賞金首を追っているようだね。 それも御互いがつぶしあってどんどん大事になって行っているね。 止め処も何もあったものではないね。うむ。何と言うのかねあの少年。そう言う星の元にうまれ付いているのかもしれないね。」

「かっこつけてんじゃねー!! コントロールかーえーせー!!!」

 考え深げにかっこつけるDr・フェネクスに、複数の画面の一つに映った人物が罵声を浴びせかける。 彼は今Dr・フェネクスがハッキングしている機動鎧の操縦者だったりする。

「はっはっは! まぁまぁ。ハウザーにやられて散ると言うのもなかなか清々しい思い出になると思うのだがね。私としてはモニター越しとは言え、ハウザーの戦闘風景を見逃すつもりもないわけなのだがね。」

「行き成りハッキングかけてなに言ってんだこの変態野郎! 鬼! 悪魔!!」

「はっはっは! まあ、確かに私は悪魔なのだがね! さぁ、行こうと思うのだがねハウザー! 私のコントローラー捌きをとくとご覧に入れようと思うのだがね!」

「いやだぁ〜!!!」

 泣き叫ぶ操縦者を無視して、コントローラーを握り締めるDr・フェネクス。すこぶる無邪気っぽく笑うその笑顔は、ある意味正に悪魔なのだった。