ハウザー&マービット マービットの過去なのよ

 マービットの最初の記憶。それはうすらぼんやりと聞える声だった。

「コレ。コレなら使えるかもしれない」

 自分に向けられたその言葉の意味は良くわからなかったが、にっこりと笑ってその言葉を受けた記憶だけがあった。 時折赤ん坊の時の記憶を持ったまま成長する人が居ると言う。まあ、それの軽いものなのだろう。

 

 マービット・ケンブリッジ。四歳。 それがぼく。職業、幼稚園児。好きな食べ物は、はんばーぐでっす!

 それが僕の表のプロフィール。らしい。 らしいってのは、まだ実際に使ったことがないから。 だってぼく、まだ訓練中のアサシンだしねぇ〜。

 ここがどこなのかは良くわからないけど、山の中だってことは確かだ。 もっさり深い森の奥。そこが、ぼくみたいなアサシンになるために集められた子供たちの・・・なんつったっけ? 養育施設?なんだってさ。

 ぼくたちはここで、日々殺しの訓練にまい進している訳ですよ! はい!

ぼくたちと言う言葉の通り、ここにはぼく以外にも沢山の同じくらいの年頃の子たちが居る。 なんでも、「アサシンギルドの先鋭部隊員になるために教育している」んだそうだ。 ああ。なんかカッコイイ響きだよね、先鋭部隊。 ぜんぜんなりたくないけど!へへへ!

 なんか、ぼくはもっとこう、だらぁ〜っとしたのがいいんけどね。何時もの訓練くらいの甘さがちょうど良いとおもうよ。うん。 ま、甘いって言っても、ぼく以外の子は皆訓練の後はぁはぁ言ってるし、訓練中に怪我したり死んじゃったりする子も居るんだけどね。 皆要領悪いから。

 来る日も来る日も、基本的にやれ体術やれ鉄砲、やれ吹き矢、ナイフ、剣術。 挙句、最近は素人さんを安心させる会話の仕方とかまでさせられてる。 なんでも、仕事の都合上一般人に紛れなきゃ成らないこともあるんだってさ。 なもんだから、ぼくたちには一般常識って奴もあったりするんだよね〜。

 だから、自分達が置かれてる状況が異常だって思っちゃう子も居るみたい。 いっつもベットで泣いてる子達とか、その手合いだよね。 ちなみにぼくは、別に悲観してなかったりするんだよ。 どこの世界でも生きるのには仕事せにゃならんしね。それがたまたまアサシンだっただけさぁ〜。 あ、そう言うことじゃないかな? 泣いてる子達、基本的にままとかぱぱとか言ってるし。 両親のことらしいんだけど、ぼく家族いないから良くわかんないね〜。

 

 そうそう。昨日の事なんだけど。ぼくの隣で壁のぼりの訓練してる子が足滑らせてさ。ああ、あと、剣術の訓練中に、本気の斬り合いになったのよ。なんかつるんでる連中が気に入らない奴リンチしたらしくてさ! でもそのリンチしてた連中さ。食事にいつも入ってる、“慣らし”ようの毒薬に当たって、泡吹いちゃってさぁ〜! もう、大変大変って感じッすよぉ〜!  あ。ちなみにぼくは、そう言うの嫌いだから遠くから見守ってただけなんだけどね〜。