博士の風変わりな研究と飯のタネ(9)

「ふむ。 ゾクゾクと集まってくるねぇ。」

 高層ビルの上から下界を見下ろしながら、Dr・フェネクスはもしゃもしゃとスナック菓子を食い散らかしていた。 タバコを吹かしながらしこたま体に悪そうな菓子をドカ食いするその様は、とてもPTAには見せられるものではなかった。

「しかし選り取りみどりだね。ここまでの面子をそろえるとしたら、相当な額の報酬を出さねばならないと思うのだがね。 3万。円に直せば精々360万。その程度ではとてもとても賄えないと思うのだがね。」

 Dr・フェネクスの言うとおり、戦争をしようとして今ここに集まっている面子を集めようとしたならば。とても3万と言う金額では集められないだろう。そもそも、たった3万では、ここに集まっている誰一人として戦地には赴かないだろう。

「それが、賞金首を追うためだけにゾクゾクと集まり、互いを牽制し始めている。なかなかに興味深いね。 このまま行けば戦闘が起こるね。どの程度のものになるのかまでは想像出来ないが、大惨事に成りかねないと思うのだがね。」

 眼鏡の望遠機能だけでは追いきれなくなったのか、懐から双眼鏡を取り出し覗き込むDr・フェネクス。

 彼としては、この街が戦場になるのは避けたかった。 常識的には街中で兵器を使って賞金首を奪い合うなど論外だ。 しかし、ここに今集まっている面子ならば、そんな常識なんぞ吹き飛んでしまいかねない。 特にDr・フェネクスの愛弟子であるジェーンは“撃ちたがり”や“ハッピートリガー”と呼ばれるほど喧嘩っ早いのだ。

「しかし。 ジェーン以上に喧嘩っ早いのも集まってきているね。仕方ない。本来私は争いごとを好まないタイプなのだがね。ジェーンとも連絡が取れなくなったことだし、一つ現場に出向いてことの収拾に勤めてみる事にしてみようと思うのだがね。」

 誰にとも無くそう言うと、Dr・フェネクスはゆらりと立ち上がり・・・そのままビルの屋上から身を空中に躍らせた。 そして、懐から黒いランドセルを取り出すとそれを背負う。

「さて。久しぶりの空中散歩だね。」

 その言葉に合わせるように、ランドセルの上の部分かぱっかりと開き、内部からハンググライダーが飛び出してきた。 上手く風に乗り機体が水平になると、今度はランドセルの後ろの部分が開き・・・ふろぺらが出てくるのだった。

「ふむ。“超多機能ランドセル” なかなか楽しいね。しかしコレはやはり小学生程度の少年少女が着用すべきだね。私のような老鳥には心臓に悪いよ。」

 は〜っはっはっはっはっは と、気持ち良さそうに高笑いを飛ばすDr・フェネクス。 向かうは、一路“ガルシャラ・カーマイン”と“テト・ウルフ”コンビの元である。