博士の風変わりな研究と飯のタネ(3)

「ちーっす。Dr、飯食わせてよ。飯。」

 ドアを開けて開口一番。ダルそうに壁によりかかりながら言うジェーン。

 目を開けるのもだるいと言わんばかりに半分眠りかけたような顔で体を引きずりながら、ずりずりと倉庫の中に入っていく。 彼女は、ここ三日間、なにも口にしていなかった。 その間不眠不休で、自分の銃に使うための、弾丸を作っていたのだ。 魔力を物質化、結晶にし、弾丸の形に加工する。魔力と体力がイコールな彼女にとっては、文字通り身を削って製作する武器なわけだ。

 故に、今の彼女は弱りきっていた。流石に三日間で弾丸30個は作りすぎだったようである。普通一流魔術師として世に出ている彼女と同じタイプの魔法使いが、彼女の使うのと同じ濃度の魔力結晶を作ろうとしたら。恐らく弾丸を5発製作した後、一ヶ月は寝たきりになるだろう。

「マジ腹減ってるんだよ〜。最近言い稼ぎ口無くて金も入んなくてさぁ〜。なんか食い物恵んでよ〜。」

 美しい顔立ちからは想像も出来ないような軟弱さでへろへろと動くジェーン。肉体疲労が食欲と直結している彼女にとって、今の疲労どならば丼飯五杯は軽いのだ。

 ついに立っている事を止めて、「あぁ〜う〜。」とか謎の声をあげながら、地面に突っ伏すジェーン。

「ねぇ〜。Dr? 聞いてる?」

 リアクションが全く無い事に苛立ちを覚えたのか、ジェーンはクイッ!と顔だけを起こし、いつもDr・フェネクスが座っている、倉庫中央の研究テーブルに目を向けた。 だだっ広さに反して、家具らしい家具も、道具らしい道具も無い殺風景な倉庫の内。数限られた家具の一つに、Dr・フェネクスは確かにいた。

 が。別に意味で違う所に言っていたのだった。

「くっ・・・! なんと言うことか! 猫耳スクミズセーラーと言うのはなかなか素晴らしいディティールになるでは無いかね! 奥ゆかしさ漂うジャージ姿と言うのもなかなか良い物があるがねっ・・・! ああっ! 全くいかんねこう素晴らしい物ばかり取り揃えられてはっ! 外部魔方陣を肉体強化だけでなく攻撃面でも飛び道具として、飛行器具として使用可能にすると言う新しいコンセプトを詰め込んだパワードスーツのビジュアルが決まらないではないか!」

「・・・相変わらずかよ・・・。」

 大量の、美少女や美少年、美人美男子を象ったフィギュアをはべらせ悦に入るDr・フェネクスの姿を眺めつつ。ジェーンは限界を突破して新記録を樹立しそうな感じの空腹と、無駄なものを見て痛くなってしまった頭を抱えるのだった。