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レニス王国のレニス王が住まう城には、共同浴場があるのは有名な話である。 ある種観光名所でもある王城にあるこの共同浴場は、騎士から普通職員、果ては宰相から観光客まで利用可能な施設である。
そんな共同浴場の受付嬢“ミーア・クロコップ”は、退屈そうに欠伸をかみ殺すと、ちらりと腕時計に目を落とした。
観光もオフシーズンで、城の一般業務に当たっている連中も仕事中なこの時間帯は、一日でもっとも暇で退屈なひと時である。 なにより、今日はいつにもまして暇だった。いつもたむろしている年寄り連中は「今日はバッケンホルムの地下ダンジョンに突撃ジャー!」と訳のわからないことを叫びながら、全員で出て行ってしまった。無事に帰って来ますように。と、ミーアは思わず合掌溶かしつつ見送ってしまったことは言うまでも無い。
さて。そんなこんなで、ミーア嬢は思わず昼寝してしまいそうなほど暇であった。なにせお客はもちろん、人っ子一人居ない惨状なのである。 掃除や湯加減などはもちろん、販売業に至るまで自動化された公衆浴場には、話し相手になるような人間は一人としていない。 売店や掃除をしているゴーレムに話しかけても良いのだが、連中は仕事が好きらしく、仕事をしたい気持ちと自分に付き合ってくれようと言う良心で板ばさみに成った切なげな顔を向けてくるので、最近では休憩中のゴーレムにしか声が掛けられなかった。 ちなみに浴場で働いているゴーレムは最新型で、ある程度のインタラクティブも可能であり、見た目もなかなかにプリティーでミーア好みだったした。
「あ〜・・・あ。そうだ。ポテチあったな。ポテチ。」
ぽむ。と、手を叩くと、ミーアは足元においてあったバックからポテチの袋を取り出した。本来は仕事中にお菓子を摘む等問題外の、上司が見たら怒られる行為トップテン上位ランカーな行為なのだが、どうせ今はだれも来ないのだ。
バリバリと袋を開けると、ミーアは「いっただきまーす。」 と手を打ち鳴らした。 と、そのときだった。
「美味そうだな。」
突然かけられたやたらと威厳と風格の漂う落ち着いた声に、ビクッ! と反応するミーア。 しかし、顔を上げても目の前に人影らしきものは見当たらなかった。
「・・・え?」
もしやと思い腰を挙げると・・・両手両足を手錠でつながれた挙句、鉄製の鎖でがんじがらめにされ転がっているレニス国王の姿があった。
「なんだ国王様ですかー。あー。びっくりした〜。 何処のお偉いさんかと思いましたよ〜。」
ほっと胸をなでおろすミーア。 無論、この国で一番のお偉いさんがレニス王であることは、彼女もわかっている。
「すまんな。脅かしたか。 アルベルトに賓客が来るから動くなと言われて束縛されてな。逃げ出したのは良いんだがどうにも魔法やら色々添付された束縛具らしくてなかなか解けんのだ。」
「国王様らしく無理やり引きちぎっちゃえばいいじゃありませんか。」
「無理やり解こうとすると爆発するように出来ておるらしいのだ。爆炎と爆音で見つかろうものなら何をされるかわからんからな。眉間を剣で連続強打くらいのことはされるかも知れん。」
「あははは。 あんまり宰相様虐めないで上げてくださいよー。 いっつも疲れきった顔でお風呂入りに来るんですから。」
「うむ。考えておく。」
「ん。あ、ポテチ食べます?」
「頂こう。」
即答した国王に、ミーアはゆるゆると近づきしゃがみ込むと、お菓子をつかみ、レニス王の口の押し込んだ。
されるがままのレニス王はもっしゃもっしゃとお菓子を噛み砕くと、ゴックリと飲み込んだ。若干蛇が獲物を丸呑みにするっぽい挙動を見せると、まったくの無表情で「うむ。美味い。」と満足そうに頷く。
「あははは! 良かったです。コレ新製品らしいんですよ。」
「そうなのか。今度買いに行ってみるとしよう。」
うむうむと頷くと、レニス王はのそのそと動き出すと、尺取虫のような挙動で出口に向かって進み始めた。
「あれ? お帰りですか?」
「うむ。汗を流そうと思ったんだが、良く考えたらこの姿では風呂に入れんからな。」
大真面目にそう言うレニス王の言葉に、ミーアは思わず噴出すと「あはははは!」 とはつらつとした声を上げて笑った。
「じゃあ、それちゃんとはずせたら、また寄って下さいね。 またお菓子用意しておきますから。」
「うむ。楽しみにして置く。 またな。」
そう言うと、レニス王はその動きからは想像も出来ないような軽やかな動きで共同浴場の自動ドアから出て行くのだった。
「相変わらず面白い人よねぇ〜。」
思わずくすくすと笑いながら見送るミーア。 と、腕時計に目をやり、あわてたような声を出した。 もうすぐ、城警備の一部所のローテイションの時間である。一日の疲れを癒しに来る兵士達のために、準備を始めなくては成らない。
「さ、みんな〜! 疲れたお客が来るわよ〜! 準備してぇ〜!」
『ぷいにゅ〜!』
大声で指示を出すミーアに、良くわからない声で答えるゴーレムたち。 そんな様子に、思わず口元をほころばせ、目を細めるミーアだった。
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私と違って絵も書けるステッキーな“ツキニコ”様の創作系サイト。ウチのリンク品って書いてある奴は此方のキャラをお借りしてのリレー作品。
レニス王国のレニス王が住まう城には、共同浴場があるのは有名な話である。 ある種観光名所でもある王城にあるこの共同浴場は、騎士から普通職員、果ては宰相から観光客まで利用可能な施設である。
そんな共同浴場の受付嬢“ミーア・クロコップ”は、退屈そうに欠伸をかみ殺すと、ちらりと腕時計に目を落とした。
観光もオフシーズンで、城の一般業務に当たっている連中も仕事中なこの時間帯は、一日でもっとも暇で退屈なひと時である。 なにより、今日はいつにもまして暇だった。いつもたむろしている年寄り連中は「今日はバッケンホルムの地下ダンジョンに突撃ジャー!」と訳のわからないことを叫びながら、全員で出て行ってしまった。無事に帰って来ますように。と、ミーアは思わず合掌溶かしつつ見送ってしまったことは言うまでも無い。
さて。そんなこんなで、ミーア嬢は思わず昼寝してしまいそうなほど暇であった。なにせお客はもちろん、人っ子一人居ない惨状なのである。 掃除や湯加減などはもちろん、販売業に至るまで自動化された公衆浴場には、話し相手になるような人間は一人としていない。 売店や掃除をしているゴーレムに話しかけても良いのだが、連中は仕事が好きらしく、仕事をしたい気持ちと自分に付き合ってくれようと言う良心で板ばさみに成った切なげな顔を向けてくるので、最近では休憩中のゴーレムにしか声が掛けられなかった。 ちなみに浴場で働いているゴーレムは最新型で、ある程度のインタラクティブも可能であり、見た目もなかなかにプリティーでミーア好みだったした。
「あ〜・・・あ。そうだ。ポテチあったな。ポテチ。」
ぽむ。と、手を叩くと、ミーアは足元においてあったバックからポテチの袋を取り出した。本来は仕事中にお菓子を摘む等問題外の、上司が見たら怒られる行為トップテン上位ランカーな行為なのだが、どうせ今はだれも来ないのだ。
バリバリと袋を開けると、ミーアは「いっただきまーす。」 と手を打ち鳴らした。 と、そのときだった。
「美味そうだな。」
突然かけられたやたらと威厳と風格の漂う落ち着いた声に、ビクッ! と反応するミーア。 しかし、顔を上げても目の前に人影らしきものは見当たらなかった。
「・・・え?」
もしやと思い腰を挙げると・・・両手両足を手錠でつながれた挙句、鉄製の鎖でがんじがらめにされ転がっているレニス国王の姿があった。
「なんだ国王様ですかー。あー。びっくりした〜。 何処のお偉いさんかと思いましたよ〜。」
ほっと胸をなでおろすミーア。 無論、この国で一番のお偉いさんがレニス王であることは、彼女もわかっている。
「すまんな。脅かしたか。 アルベルトに賓客が来るから動くなと言われて束縛されてな。逃げ出したのは良いんだがどうにも魔法やら色々添付された束縛具らしくてなかなか解けんのだ。」
「国王様らしく無理やり引きちぎっちゃえばいいじゃありませんか。」
「無理やり解こうとすると爆発するように出来ておるらしいのだ。爆炎と爆音で見つかろうものなら何をされるかわからんからな。眉間を剣で連続強打くらいのことはされるかも知れん。」
「あははは。 あんまり宰相様虐めないで上げてくださいよー。 いっつも疲れきった顔でお風呂入りに来るんですから。」
「うむ。考えておく。」
「ん。あ、ポテチ食べます?」
「頂こう。」
即答した国王に、ミーアはゆるゆると近づきしゃがみ込むと、お菓子をつかみ、レニス王の口の押し込んだ。
されるがままのレニス王はもっしゃもっしゃとお菓子を噛み砕くと、ゴックリと飲み込んだ。若干蛇が獲物を丸呑みにするっぽい挙動を見せると、まったくの無表情で「うむ。美味い。」と満足そうに頷く。
「あははは! 良かったです。コレ新製品らしいんですよ。」
「そうなのか。今度買いに行ってみるとしよう。」
うむうむと頷くと、レニス王はのそのそと動き出すと、尺取虫のような挙動で出口に向かって進み始めた。
「あれ? お帰りですか?」
「うむ。汗を流そうと思ったんだが、良く考えたらこの姿では風呂に入れんからな。」
大真面目にそう言うレニス王の言葉に、ミーアは思わず噴出すと「あはははは!」 とはつらつとした声を上げて笑った。
「じゃあ、それちゃんとはずせたら、また寄って下さいね。 またお菓子用意しておきますから。」
「うむ。楽しみにして置く。 またな。」
そう言うと、レニス王はその動きからは想像も出来ないような軽やかな動きで共同浴場の自動ドアから出て行くのだった。
「相変わらず面白い人よねぇ〜。」
思わずくすくすと笑いながら見送るミーア。 と、腕時計に目をやり、あわてたような声を出した。 もうすぐ、城警備の一部所のローテイションの時間である。一日の疲れを癒しに来る兵士達のために、準備を始めなくては成らない。
「さ、みんな〜! 疲れたお客が来るわよ〜! 準備してぇ〜!」
『ぷいにゅ〜!』
大声で指示を出すミーアに、良くわからない声で答えるゴーレムたち。 そんな様子に、思わず口元をほころばせ、目を細めるミーアだった。